59 / 276
三 考えてなかった……!
side羽咲20
しおりを挟む「そうだったかな?」
友達って……水都ちゃんといるときのは、総真くんよく知ってるよね? 唯浜は友達じゃない。ライバル。
総真くんは「んー」と少し考えるような間を置いてから、「なんて言うか……」と切り出した。
「論くんと話してるうー、楽しそうだった。もしかして好きだったりするの?」
「……は?」
え、論くんて……唯浜?
「いや、それは全然ないけど……」
むしろイライラしてるけど……。
けれど次の総真くんの言葉にショックが大きくて、足が止まってしまった。
「隠さなくても言いふらしたりしないよ?」
な、なにそれ……総真くんの中では、私、唯浜がすきだってことになっちゃってるの?
――――やだ。
「私が!」
「う、うー?」
声を張り上げると、総真くんはびっくりしたように私の顔をのぞいてきた。
「私がすきなのは総真くんだよ……! す、すきな人に、他の人をすきだなんて誤解されたくない……っ」
わーっ! 何言ってるの私! もっとちゃんと告白するつもりだったのに……!
頭の中では冷静な私がいるのに、口は勝手に動いてしまう。
総真くんは戸惑ったように、棒立ちになっている。
「え……」
「私は! ずっとずっと、総真くんがすきだったの……」
「お、れ……?」
そうだよ。……そうだよ……。
「うん……。付き合えるだなんて思ってない。総真くんは、高嶺の花だから……。でも、他の誰かをすきだなんて……思わないで……」
「うー……あの、ごめん……」
あ、フラれた。
「俺、うーのこと大好きだけど、それって大事な妹みたいな存在だから大事なんだって思ってた……。……俺もうーのことを恋愛対象として好きなのかは……ちょっとわからない……」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
悪役令息の婚約者になりまして
どくりんご
恋愛
婚約者に出逢って一秒。
前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。
その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。
彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。
この思い、どうすれば良いの?
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
塩対応の公子様と二度と会わないつもりでした
奏多
恋愛
子爵令嬢リシーラは、チェンジリングに遭ったせいで、両親から嫌われていた。
そのため、隣国の侵略があった時に置き去りにされたのだが、妖精の友人達のおかげで生き延びることができた。
その時、一人の騎士を助けたリシーラ。
妖精界へ行くつもりで求婚に曖昧な返事をしていた後、名前を教えずに別れたのだが、後日開催されたアルシオン公爵子息の婚約者選びのお茶会で再会してしまう。
問題の公子がその騎士だったのだ。
女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き
待鳥園子
恋愛
「では、言い出したお前が犠牲になれ」
「嫌ですぅ!」
惚れ薬の効果上書きで、女嫌いな騎士団長が一時的に好きになる対象になる事になったローラ。
薬の効果が切れるまで一ヶ月だし、すぐだろうと思っていたけれど、久しぶりに会ったルドルフ団長の様子がどうやらおかしいようで!?
※来栖もよりーぬ先生に「30ぐらいの女性苦手なヒーロー」と誕生日プレゼントリクエストされたので書きました。
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる