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三 考えてなかった……!
side羽咲16
しおりを挟む「はい、勿論」
「ありがと。あと気になってたんだけど、唯浜くんって名前、唯浜ユイくん?」
あ、唯浜の地雷踏んだ。
総真くんのフォローをすべきか、友達として唯浜に助けを出すか悩んだ一瞬の間に、唯浜は困ったように苦笑した。
「いえ……唯浜論、です……」
「ろんくん?」
「……論文の論、です。変わった名前なんで、みんなには『ユイ』って呼んでもらってるんです」
「先生もユイのことはユイって呼んでるんだよ。唯浜って呼んでるのは羽咲ちゃんくらい」
助け舟を出したのは、さすがの水都ちゃんだった。
「そうなんだ。俺もユイくんって呼ぶ方がいいのかな?」
「それは……」
……え、そこ悩むの? 唯浜って自分の名前が地雷で、どんなに親しい人でも名前呼びはさせないのに。総真くんは特別ってことか!?
「あまり、自分の名前好きじゃないんです……」
「そうかなあ。カッコいいと思うよ? 論くん。論文に強そう」
論くん!? 総真くん、唯浜にそんな親しげに呼びかけるなんて!
「ね? 論くんってカッコいいよね、うー」
「総真くんのがカッコいいよ!」
「……よくわからないけど、たぶんそういう話じゃないよ? あと大声ダメ」
「あ……ごめんなさい……」
そ、そうだよね。お店の中で大声はダメだよね。
失態に縮こまっていると、クスッと笑う声がした。
「司。ざまあ」
薄ら笑いを浮かべながらこちらを見る唯浜
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