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三 考えてなかった……!

side羽咲8

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「……えっ……」

「羽咲ちゃん?」

「どうかしたか? 司」

図書館の前で総真くんを待っていた私たちに届いたメッセージは、

『図書館の隣のカフェで待ってるから、来れたら来てね』……というものだった。カフェって……あ。

「総真くん、カフェで待ってるって」

「って……あそこだよね? なんか目的地が増えてってすごろくやってるみたい」

「碓氷総真、やっぱ性格悪いんじゃね?」

「唯浜。今すぐ帰るのと私に頬骨を砕かれるの、どっちがいい?」

唯浜に向かってこぶしを握って見せた。

「……どっちもやです」

唯浜は大人しくついてくる、を選んだみたいだ。

そこは、木陰にたたずむチェーン店のカフェ。

図書館に併設されていることもあって、勉強に使う人も多い静かな空間だ。

私は総真くんがうちに来て勉強を見てくれているから使わせてもらったことは多くないけど、何回かお母さんや水都ちゃんと来たことがある。

私を先頭に、そっと扉を押した。

ちりんちりん、と鈴の音がして、同時に店内の穏やかなメロディーが聞こえて来た。

「いらっしゃいませ。来てくれてありがとう、うー、水都」

「………」

――それは私の視界と思考回路を停止させるには十分過ぎる衝撃だった。

「総真くんっ? なにしてるの?」

眼福に硬直した私に代わって、水都ちゃんが訊ねてくれた。

「バイトです。うー、最近特に勉強頑張ってるから、たまにはゆっくりしてもらおうと思って呼んだんだ。今日はこのあと勉強もするけど、まずは休息をね。あれ? そっちの子は?」

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