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二 総真くん総真くん総真く(∞
side総真18
しおりを挟むドキッとした。
晃さん、本当にひとのことよく見てるなあ……。
「……本当のことですから」
僕には、何もない。
例えば、由羽のような夢。
由羽は晃さんと咲雪さんの仕事を見ていて、自分もそれを仕事にしたいと決めている。弱い立場になってしまっている女性を助けること。
例えば、うーのような目標。
うーは僕と同じ高校に入りたいと勉強を頑張っている。
僕は、勉強に意識を傾けやすい家庭環境だったからか、学ぶことは嫌いではなかった。
けれど、好きといえるほどではなかった。
いい成績をとっていればそれだけ選べる進路は広がったから、とりあえず上位の成績はキープするようにはしていたけど、その先は全然見つけられなかった。
高校も、中学のころの成績ならこのくらいは……程度で決めた。
将来も、想や美結と同じかなあ、と、漠然と思っていて……。
ふっと、晃さんが口の端に笑みを見せた。
「だから楽しいんじゃないか」
「え?」
「なんにもないから楽しいんだろ。『見つける』ってのは楽しいもんだぞ? 総真は、学校に行ってて、由羽や玲、羽咲といて、ただ漠然とつまらない時間が過ぎていくか?」
「学校……はよくわかんないですけど、みんなといるのは楽しいです」
「なら、どっかで見つかる」
「……どっかで?」
「そ。割とな、誰かや何かと関わっている方が、やりたいことは見つかりやすいと思うんだよ。これは楽しい、もっと知りたい。これは極めてみたい。これはみんなが楽しんでくれるから自分も楽しくなる。とかな。そういうのを見つけたら、手を伸ばしてみるんだ。それに触れようとしてみる。それが〃きっかけ〃ってやつだと、俺は思うよ」
……きっかけ。手を伸ばして、触れようとしてみる……。
「……すごい、なあ……」
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