暴走娘×ど天然？－六花の恋４－【完】

一 兄の毒吐く（独白）

side由羽１

俺の妹は変態だ。

あ、ちょっと違った。

正確に言うのなら、俺たち両親の親友夫婦の一人息子で俺ら四人にとっては幼馴染でもあるヤツのストーカーだ。

……正確に言っても変態だな。

「お前、相手が総真で親が想さんと美結さんじゃなかったらとっくに捕まってるからな？」

「へ？」

「じゃねーよ。盗聴器自作する中二とかコワいだけだわ。よく総真がお前に愛想つかさねーよ」

羽咲の部屋からゴソゴソ音がするから（こういうときは大概ろくでもないことを企んでいるときだ）心配になって部屋に入ってみたらこれだ……。

机の上にはちっさな器具が並べられて、眼鏡をかけた羽咲がそれを組み立てている。

「総真くんが教えてくれたことの応用のつもりなんだけど」

「まさか総真もお前にストーカー行為されるためにお前の勉強見てるんじゃねえよ」

幼馴染――碓氷総真は県下トップの公立校に主席入学、その後もトップをキープしている。

周囲の評判がど天然の想さん譲りのクソど天然野郎で、どこをどうしたらこいつの頭が良くなるんだろう、と不思議に思わせる奴だ。

で、ストーカーにまで成り果てたうちの妹は、当然のように総真が大すきだ。

そして当然のように総真は気づいていない。

こういうのって普通逆なんじゃ？　って思ったことがあるけど、善人百パーセントの総真がストーキング行為をするなんて欠片も考えらんないからそこでやめておいた。