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2 闇の陰陽師・黒藤

side黒藤9

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涙雨は霊力と妖力が桁外れで高いから、力の消費も激しい。

人型をとるようになってからは『食事で補給する』ことを覚えた。

その前は、ひたすら眠るしか力の回復の方法がなかったらしい。

人間で言えば基礎代謝が異常に高いと言えばいいかな。

何もしていなくてもエネルギーを消費しているから、とにかく寝て回復するしかない。

そうすると活動時間が制限される。

俺の式に下ってからは、主である俺からある程度の力の補給も出来るし、人型を取って食事で回復する方法も覚えたから、動き回れる時間が多くなったそうだ。

今まで眠ってばかりだったのを取り返すように、小鳥の姿で散歩して歩くのが好きだ。

無月は年中俺の傍にいるけど、呼んだら来ることを条件に涙雨は自由にさせている。

時空の妖異を式にしようなんてアホなこと考えるヤツも少ないだろうから、祓い屋や術師に逢っても大丈夫だろう、と。

縁に涙雨のメシを頼んで、隠形した無月を伴って庵(いおり)を出る。

過日(かじつ)の冬芽からの依頼は、桃子の昇天で解決となった。

あれから二週間経って、二、三回冬芽の様子を見に行ったけど、目に見えて落ち込んでいた。

相当惚れ込んでいたみたいだ。

けど俺たちから、桃子の家族の話が冬芽にもれることはない。

冬芽の依頼は、『桃子の家族を探してくれ』、ではないからだ。

桃子が生前の総ての記憶を持っていたことも、逢いたいと言っていた対象が弟であったことも、冬芽に報告はされない。

人間が陽、妖異が陰、その境界線上に立つ陰陽師(俺たち)は、線引きはしっかり引かないといけない。

実はこの、俺たちには基本的なところ、白のウィークポイントだったりする。

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