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5 帰せないよ
side想2
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「想……、私……っ」
「いいよ。言わないで」
僕がそう言うと、美結は僕の服を握りこんで泣きだした。
雨音と美結の泣き声がぶつかる。今、雨が降っていてよかった。美結を、独りにしないで……。
「っ、そう、ごめん、ね……急に、こんな……」
「大丈夫だよ。美結、とりあえずうち行こう?」
「え、でも……」
「美結に風邪とかひかせらんないの。嫌って言ったら抱き上げて連れて行くから。公道を」
「想が通報されるよね、それ!」
「ん。それが嫌だったら、はい」
僕が手を差し出すと、美結は渋々と言った感じで握り返して来た。
「……ごめん」
「ありがとう、のがいいかな」
「…………がと」
「うん」
僕が美結を連れて帰ると、玄関で母さんが目を丸くして驚いていた。
「美結ちゃん!? と、とにかくお風呂入ってあったまりなさい! 服は想のやつの方がいいよねっ?」
僕らより混乱している母さんが、美結を風呂場に文字通り投げ込んだ。
「あの、でも想の方が――」
「女の子の方が身体冷やしちゃダメ! 想は着替えておけば大丈夫だから!」
母さんに押し切られて、美結は風呂場にいるしかなくなった。
母さんがあたふたしながらタオルだなんだと騒いでいるので、僕も脱衣所で念を押した。
「美結、ちゃんとあたためてから出て来て。じゃないとまた風呂場に投げ込むから」
「……は、はい……」
僕が強い口調で言うと、美結はこくりと肯いた。
そして脱衣所の扉を閉める。
僕は一応着替えて、部屋でドライヤーで髪だけ乾かしてみた。
「想、美結ちゃんどうかしたの?」
「いいよ。言わないで」
僕がそう言うと、美結は僕の服を握りこんで泣きだした。
雨音と美結の泣き声がぶつかる。今、雨が降っていてよかった。美結を、独りにしないで……。
「っ、そう、ごめん、ね……急に、こんな……」
「大丈夫だよ。美結、とりあえずうち行こう?」
「え、でも……」
「美結に風邪とかひかせらんないの。嫌って言ったら抱き上げて連れて行くから。公道を」
「想が通報されるよね、それ!」
「ん。それが嫌だったら、はい」
僕が手を差し出すと、美結は渋々と言った感じで握り返して来た。
「……ごめん」
「ありがとう、のがいいかな」
「…………がと」
「うん」
僕が美結を連れて帰ると、玄関で母さんが目を丸くして驚いていた。
「美結ちゃん!? と、とにかくお風呂入ってあったまりなさい! 服は想のやつの方がいいよねっ?」
僕らより混乱している母さんが、美結を風呂場に文字通り投げ込んだ。
「あの、でも想の方が――」
「女の子の方が身体冷やしちゃダメ! 想は着替えておけば大丈夫だから!」
母さんに押し切られて、美結は風呂場にいるしかなくなった。
母さんがあたふたしながらタオルだなんだと騒いでいるので、僕も脱衣所で念を押した。
「美結、ちゃんとあたためてから出て来て。じゃないとまた風呂場に投げ込むから」
「……は、はい……」
僕が強い口調で言うと、美結はこくりと肯いた。
そして脱衣所の扉を閉める。
僕は一応着替えて、部屋でドライヤーで髪だけ乾かしてみた。
「想、美結ちゃんどうかしたの?」
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