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5 帰せないよ
side想1
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その日曜は午前練だけだったから、昼に帰った僕は午後から机に向かっていた。
それと同じタイミングで降って来た雨。雨音を聞きながらテキストをめくる。
当然のように、僕が成績を落とすわけにはいかない。
美結がそれを不安に思っているからだ。ひと段落したら美結に電話する気だけど。
そう思って机の上に置いていたスマホが、着信を告げた。あ、美結だ。じゃあ僕も少し休憩っと。
「もしもし? 美結?」
僕が慌てて出ると、けれど聞こえて来たのは切羽詰った美結の声だった。
『想……っ、助けて……っ』
え?
「美結っ? なにどうした? どこにいる?」
『しょう、がっこう……想、私……ここの娘じゃなかった……っ』
そのまま、僕は土砂降りの外へ飛び出した。
――知ってしまったんだ。美結は。
僕らの通っていた小学校は地元の公立で、走れば五分もかからなかった。
どこだ。どこにいる。
休日だから当然のように門は閉まっている。門は飛び越えられる高さだけど……
僕が思案しているとき、か細い声が聞こえた。
「想……」
「美結っ!」
敷地に沿って設置されているフェンスの、もっと離れた場所からだ。声のした方へ走ると、雨でずぶぬれの美結が、青白い顔で僕の名を呼んだ。
「想……っ」
「ごめん、遅くなった」
有無も聞かずに抱きしめると、美結はか細く震えていた。
それと同じタイミングで降って来た雨。雨音を聞きながらテキストをめくる。
当然のように、僕が成績を落とすわけにはいかない。
美結がそれを不安に思っているからだ。ひと段落したら美結に電話する気だけど。
そう思って机の上に置いていたスマホが、着信を告げた。あ、美結だ。じゃあ僕も少し休憩っと。
「もしもし? 美結?」
僕が慌てて出ると、けれど聞こえて来たのは切羽詰った美結の声だった。
『想……っ、助けて……っ』
え?
「美結っ? なにどうした? どこにいる?」
『しょう、がっこう……想、私……ここの娘じゃなかった……っ』
そのまま、僕は土砂降りの外へ飛び出した。
――知ってしまったんだ。美結は。
僕らの通っていた小学校は地元の公立で、走れば五分もかからなかった。
どこだ。どこにいる。
休日だから当然のように門は閉まっている。門は飛び越えられる高さだけど……
僕が思案しているとき、か細い声が聞こえた。
「想……」
「美結っ!」
敷地に沿って設置されているフェンスの、もっと離れた場所からだ。声のした方へ走ると、雨でずぶぬれの美結が、青白い顔で僕の名を呼んだ。
「想……っ」
「ごめん、遅くなった」
有無も聞かずに抱きしめると、美結はか細く震えていた。
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