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番外編
リップル王女の恋物語③
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――まさか、こんな形でバレてしまうとは……。
私はサズレア王国の王宮にある美しい庭園に用意されたテーブルへと案内され、大人しく椅子へと座っていた。両の手は自身の膝の上でぎゅっと結び、所在無げに俯いていた。
「お待たせして申し訳ありません」
聞こえた中性的な美しい声に身体を一瞬ビクッと震わせ、慌てて立ち上がり淑女の礼をした。
「いえっ、こちらこそ、ご足労をお掛けして申し訳ありません」
「あぁ、そんな硬くならずに……どうぞ楽にして下さい」
優しい声に従い、ゆっくりと椅子へと座り直す。こうしている間も、私の心臓はバクバクと激しく音を立てている。
「…………」
「…………」
メイドたちがテーブルへとお茶と菓子の用意をしている間も、私は顔を上げる事も出来ず……俯いて自分のスカートと握りしめた手を見つめていた。メイドが下がった後も、暫く無言の時間が過ぎる。互いに何も喋らないので、遠くで小鳥の鳴く声が聞こえるだけだ。
「……あの、リップル王女」
「は、はいっ。本当に申し訳ありません。どうぞ、私の事はお気になさらずに……」
向かいに座るのはサズレア王国第三王子であるジャスティン王子。先日、私はアリエッタと共にこの国の王太子妃の試練なるものを受けた。そう、ジャスティン王子の兄である、ロビウムシス王太子の婚約者候補として……だ。
それが何故今こうやって第三王子であるジャスティン王子と向かい合っているのかと言うと、試練の中で私が王太子妃になるつもりが全く無い事を見抜かれてしまい、あっと言う間に試練をリタイアされてしまった。そして、私がロビウムシス王子でなくジャスティン王子を慕っているという事が、この国の両陛下たちへとモロバレしてしまったのだ。
――こんな筈じゃなかったのに。試練の王め……何も皆にバラさなくても良いのに。
そりゃ元々この留学を機に、ジャスティン王子との仲を深められたら……というのを第一の目的でこの国へと来たのだけど。だからと言って、告白もしてないのに勝手に気持ちをバラさないで欲しい。
そんな訳で、今私はサズレア国王と私の父であるコンフォーネ国王の粋な計らい(?)によってジャスティン王子と交流を持つ場を用意されたのだった。上手く行けばジャスティン王子と婚約を結べば良い、と言われたのだけど……こんな形で無理に推し進めて欲しくはない。
「……リップル王女。どうか、お顔を上げて下さい」
「っ……む、無理ですわ」
「どうしてですか?」
「うっ……ぐ、とてもジャスティン王子のお顔を見る事なんて、出来ませんのっ」
目の前にジャスティン王子が居るというだけで、お声を掛けて下さっているだけで、私の胸は苦しくなって……今にも泣いてしまいそうだった。
「そういえば……私がコンフォーネ王国へ留学していた時も、リップル王女はいつも顔を合わせてはくれませんでしたね」
「……」
「そんなに私の顔は見るに耐えませんか?」
「なっ!? 違いま……」
思わず顔を上げてしまい、優しい微笑みを浮かべるジャスティン王子と目が合う。
「やっと顔を見せて貰えた」
「あ……」
一気に顔が火照って再び俯くと、衣擦れの音と草を踏む音が聞こえて……私の横にジャスティン王子が跪かれた。
「な、何をされて……」
「だって、こうでもしないとお顔を見せてはくれないでしょう?」
ジャスティン王子は跪いたまま、膝の上に置いていた私の両手を軽く引き寄せて……温かな両手でそっと包み込んだ。
「あ……のっ……?」
「私と婚姻したいというのは、本当ですか?」
「あっ……うっ……」
「私は嫌われてはいないのですね? てっきり、嫌われているのかと思ってました」
私は驚きと恥ずかしさと何が何だか分からなくなってて、しどろもどろで声をまともに発せれていない。取り敢えず、ぶんぶんと首を横に振って意思表示をするのが精いっぱいだ。
「留学中は話し掛けてもすぐに逃げる様に去ってしまわれるし、顔は勿論合わせて貰えないしで……あなたに嫌われているのだとずっと思っていました」
「ちが……い、ます…………お、お慕いしてて……恥ずかしくて……逃げてしまったんです」
私が渾身の勇気を振り絞って告げた気持ちに、ジャスティン王子はふっと柔らかな笑みを浮かべた。
「リップル王女」
「はい……」
「私もあなたの事がずっと好きでした。どうかこの私と婚約して頂けますか?」
そう言ってジャスティン王子は、私の手の甲へと口づけた。手に触れたその感触に私はクラクラと眩暈がしそうになる。これは、夢じゃないのよね?
「は……い」
私の返事にジャスティン王子の顔がクシャリと破顔した。あぁ……なんて素敵な笑顔なんだろう。こんな笑顔を見れるのなら、もっと早くジャスティン王子と一杯お話をするんだったわ。
それから私とジャスティン王子は、王宮でも学園でも出来るだけ沢山一緒に居て、沢山沢山お話をした。王都の街で開催された夏祭りの日には、ジャスティン王子が屋台の料理を山ほど買って来て下さって驚いたり。一つ年下ではあっても、とても優しくて頼もしい素敵なジャスティン王子の事が、前よりもずっとずっと大好きになっていった。
留学期間が終わった後、私は一度コンフォーネ王国へと帰国する事となったけどジャスティン王子とは手紙のやり取りをしながら過ごし、ジャスティン王子が学園を卒業されるのを待って私達はサズレア王国で結婚した。第三王子である彼は新たに伯爵となり……私は王女から伯爵夫人になった。
最近では娘のルルシャスがアリエッタの息子であるブレナンドロス第二王子と結婚するとか言い出して驚かさせられたけど、夫婦となった今でも夫のジャスティンは私の事を大切にしてくれてて幸せな結婚生活を送っている。
大事な親友となったアリエッタも王妃として色々と大変そうだけど、幸せそうにしている。共に悪役令嬢としてこの世界に生を受けた身だけど、こんなにも幸せになって良いのかな…なんて思うけど、ヒロインであるプリメラも幸せみたいだし。うん、きっといいのよね!
私はサズレア王国の王宮にある美しい庭園に用意されたテーブルへと案内され、大人しく椅子へと座っていた。両の手は自身の膝の上でぎゅっと結び、所在無げに俯いていた。
「お待たせして申し訳ありません」
聞こえた中性的な美しい声に身体を一瞬ビクッと震わせ、慌てて立ち上がり淑女の礼をした。
「いえっ、こちらこそ、ご足労をお掛けして申し訳ありません」
「あぁ、そんな硬くならずに……どうぞ楽にして下さい」
優しい声に従い、ゆっくりと椅子へと座り直す。こうしている間も、私の心臓はバクバクと激しく音を立てている。
「…………」
「…………」
メイドたちがテーブルへとお茶と菓子の用意をしている間も、私は顔を上げる事も出来ず……俯いて自分のスカートと握りしめた手を見つめていた。メイドが下がった後も、暫く無言の時間が過ぎる。互いに何も喋らないので、遠くで小鳥の鳴く声が聞こえるだけだ。
「……あの、リップル王女」
「は、はいっ。本当に申し訳ありません。どうぞ、私の事はお気になさらずに……」
向かいに座るのはサズレア王国第三王子であるジャスティン王子。先日、私はアリエッタと共にこの国の王太子妃の試練なるものを受けた。そう、ジャスティン王子の兄である、ロビウムシス王太子の婚約者候補として……だ。
それが何故今こうやって第三王子であるジャスティン王子と向かい合っているのかと言うと、試練の中で私が王太子妃になるつもりが全く無い事を見抜かれてしまい、あっと言う間に試練をリタイアされてしまった。そして、私がロビウムシス王子でなくジャスティン王子を慕っているという事が、この国の両陛下たちへとモロバレしてしまったのだ。
――こんな筈じゃなかったのに。試練の王め……何も皆にバラさなくても良いのに。
そりゃ元々この留学を機に、ジャスティン王子との仲を深められたら……というのを第一の目的でこの国へと来たのだけど。だからと言って、告白もしてないのに勝手に気持ちをバラさないで欲しい。
そんな訳で、今私はサズレア国王と私の父であるコンフォーネ国王の粋な計らい(?)によってジャスティン王子と交流を持つ場を用意されたのだった。上手く行けばジャスティン王子と婚約を結べば良い、と言われたのだけど……こんな形で無理に推し進めて欲しくはない。
「……リップル王女。どうか、お顔を上げて下さい」
「っ……む、無理ですわ」
「どうしてですか?」
「うっ……ぐ、とてもジャスティン王子のお顔を見る事なんて、出来ませんのっ」
目の前にジャスティン王子が居るというだけで、お声を掛けて下さっているだけで、私の胸は苦しくなって……今にも泣いてしまいそうだった。
「そういえば……私がコンフォーネ王国へ留学していた時も、リップル王女はいつも顔を合わせてはくれませんでしたね」
「……」
「そんなに私の顔は見るに耐えませんか?」
「なっ!? 違いま……」
思わず顔を上げてしまい、優しい微笑みを浮かべるジャスティン王子と目が合う。
「やっと顔を見せて貰えた」
「あ……」
一気に顔が火照って再び俯くと、衣擦れの音と草を踏む音が聞こえて……私の横にジャスティン王子が跪かれた。
「な、何をされて……」
「だって、こうでもしないとお顔を見せてはくれないでしょう?」
ジャスティン王子は跪いたまま、膝の上に置いていた私の両手を軽く引き寄せて……温かな両手でそっと包み込んだ。
「あ……のっ……?」
「私と婚姻したいというのは、本当ですか?」
「あっ……うっ……」
「私は嫌われてはいないのですね? てっきり、嫌われているのかと思ってました」
私は驚きと恥ずかしさと何が何だか分からなくなってて、しどろもどろで声をまともに発せれていない。取り敢えず、ぶんぶんと首を横に振って意思表示をするのが精いっぱいだ。
「留学中は話し掛けてもすぐに逃げる様に去ってしまわれるし、顔は勿論合わせて貰えないしで……あなたに嫌われているのだとずっと思っていました」
「ちが……い、ます…………お、お慕いしてて……恥ずかしくて……逃げてしまったんです」
私が渾身の勇気を振り絞って告げた気持ちに、ジャスティン王子はふっと柔らかな笑みを浮かべた。
「リップル王女」
「はい……」
「私もあなたの事がずっと好きでした。どうかこの私と婚約して頂けますか?」
そう言ってジャスティン王子は、私の手の甲へと口づけた。手に触れたその感触に私はクラクラと眩暈がしそうになる。これは、夢じゃないのよね?
「は……い」
私の返事にジャスティン王子の顔がクシャリと破顔した。あぁ……なんて素敵な笑顔なんだろう。こんな笑顔を見れるのなら、もっと早くジャスティン王子と一杯お話をするんだったわ。
それから私とジャスティン王子は、王宮でも学園でも出来るだけ沢山一緒に居て、沢山沢山お話をした。王都の街で開催された夏祭りの日には、ジャスティン王子が屋台の料理を山ほど買って来て下さって驚いたり。一つ年下ではあっても、とても優しくて頼もしい素敵なジャスティン王子の事が、前よりもずっとずっと大好きになっていった。
留学期間が終わった後、私は一度コンフォーネ王国へと帰国する事となったけどジャスティン王子とは手紙のやり取りをしながら過ごし、ジャスティン王子が学園を卒業されるのを待って私達はサズレア王国で結婚した。第三王子である彼は新たに伯爵となり……私は王女から伯爵夫人になった。
最近では娘のルルシャスがアリエッタの息子であるブレナンドロス第二王子と結婚するとか言い出して驚かさせられたけど、夫婦となった今でも夫のジャスティンは私の事を大切にしてくれてて幸せな結婚生活を送っている。
大事な親友となったアリエッタも王妃として色々と大変そうだけど、幸せそうにしている。共に悪役令嬢としてこの世界に生を受けた身だけど、こんなにも幸せになって良いのかな…なんて思うけど、ヒロインであるプリメラも幸せみたいだし。うん、きっといいのよね!
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