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番外編

リップル王女の恋物語①

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「留学生……ですか?」

 わたくしリップル・コンフォーネは、ここコンフォーネ王国の第一王女。今日は国王陛下であるお父様に呼ばれて城の薔薇園へと来ています。この薔薇園は王妃陛下である私のお母様が大好きな薔薇を、お父様が沢山植えており、ここはとても素晴らしい景色なのです。

 そんな薔薇園のガゼボにて、薔薇のお茶を両親やお兄様たちと一緒に頂いておりましたら……もうすぐこの国へ隣国サズレア王国から第三王子殿下が留学しに来られるとのお話でした。

「第三王子殿下といえば、ジャスティン王子ですね。確か……リップルの一つ下だから十三歳か」

 私の大好きなイーロイズお兄様がカップをソーサーに戻しながら呟く。

「我が国の学園は十三歳からの入学となっておりますからね。それに合わせて入学され、一年ほど滞在されるそうです」
「あぁ、だからリップルよ。学園でのジャスティン王子の事はお前に任せようと思う」
「わ、私がですか?」

 一気に皆の視線が私に集まる。両親だけでなく、私に視線を向けるのは第一王子で王太子のイーロイズお兄様、第二王子のタービンお兄様、そして第三王子で弟のセルロイナス。

「イーロイズもタービンも、もう学園を卒業しておるからな。今学園におるのはリップルだけだ」
「それは、そうですけど……私、ジャスティン王子とはお話した事ありませんわ」

 サズレア王国にジャスティン王子が居る事は知っていたけれど、実際には会った事も無かった。どんなお方なのかもよく知らない。

「心配する必要はないよ、学園内でだけの事だ」

 そう言ってタービンお兄様はメイドにお茶のお代わりを命じる。

「……クリストファー王子の様にお馬鹿さんだと面倒ですわ」
「これ! 他国の王子を揶揄するでない」

 お父様から窘められた私だけど、だって本当なんだもの。ジャスティン王子の兄、クリストファー王子って何度かお会いしてますけど、お顔は悪くないのだけど少し頭の回転が遅いお方で……ではヒロインに攻略されて婚約破棄騒動を起こされる筈だもの。ゲームの中でだと、普通にカッコいい王子様なのに実際は残念なお方ですわ。

 そういえば……と、自分の兄のイーロイズの顔をそっと眺める。イーロイズお兄様も一時期は例のヒロインと噂が流れたりしてたけど、無事に悪役令嬢である婚約者のカナルディアお義姉さまと結婚なさったのよね。当時はどうなる事かと思ったけど、ほっと致しましたわ。

「ジャスティン王子は、王太子のロビウムシス王子に似て聡明だと聞くよ」
「そうなんですの? イーロイズお兄様」
「あぁ」

 正直なところ、あまり気は進まなかったのですけど……お父様からの命令ですし断れません。あーあ、面倒な方でないと良いんですけどねぇ~。私は渋々ながら、お父様からのお話に頷いて見せるしかなかった。

◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆ ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆

【あとがき という名のお知らせ】

 ここから番外編として、リップル王女とジャスティン王子のお話になります。
作者の他作品をご覧になってる方はご存知かもしれませんが、
リップルが居るコンフォーネ王国を舞台にした作品
「ヒロインの中身は悪役令嬢です―わたしを愛してない王子はヒロインなわたしを溺愛しています―」
こちらの方にリップル王女は登場しないと思いますが、ご興味のある方はチェックしてみて下さい。

 余談ですが。クリス殿下の留学先であるオルプルート王国は下記2作品の舞台となっている国です。
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」
「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」

「変態王子~」の続編にクリス殿下が登場するかも?(笑)
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