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第二章
第十七話 そして十四歳
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わたしは十四歳になった。タクト様とお付き合いを始めてから早いもので、もう二年ちょっとが経過していた。まだ婚約は待って貰っているものの、タクト様は変わりない愛情を注いで下さっている。
十五歳になられたタクト様は、アルスト殿下やスクト様と一緒に王立学園へと入学された。わたしや悪役令嬢のティアナ様、そしてヒロインは来年入学予定となる。だから今の所、タクト様達はヒロインとは出会ってはいない。
「このまま出逢わなければ良いのだけど、そうはいかないだろうしなぁ……」
読みかけの恋愛小説をテーブルに置き、スワンにお茶のお代わりをお願いした。
ゲーム開始時期が迫って来て、わたしは殿下と打ち合わせた計画を思い返していた。ヒロインはまだ市井に居るらしいが、特徴的なあのピンクの髪色は目立つので殿下が調べたらすぐに居場所が分かったらしい。母親が病に伏せっている事から、恐らくもうすぐ男爵家へ養子入りするだろう。
現時点でのヒロインは調べによると普通の女の子だった。貧しいながらもその愛嬌と可愛らしさから周りの皆に好かれており、おかしな事をする気配は感じられないという。
よくある転生モノでは、転生したヒロインちゃんは実は性格に問題があって次々と攻略対象者を虜にしていき、逆ハーレムを築いた後に王子の卒業パーティで断罪劇を引き起こしていた。そこで逆に悪役令嬢から“ざまぁ”されて王子共々悲惨な結末を迎えるのがパターンと化している。
でも性格に問題も無く普通に恋して攻略対象者と結ばれるのであれば、わたしもアルスト殿下も特にヒロインに対して余計な関わり合いを持たずに温かく見守ろう……わたし達はそう決めていた。ヒロインが転生者かどうかも今の所は分からない。
「わたしがヒロインだったら逆ハーなんて狙わずに、大好きな推し一人と愛を育むのになぁ」
「え、何かおっしゃりましたか? お嬢様」
ボソッと呟いた言葉をスワンに聞き返されてしまった。いけない、いけない、思わず口から出ていたわ。
「いいえ、タクト様はお元気かなーって思っただけよ」
「そうですわねぇ~最近はお見えになっておりませんものね」
学園に入学されてから随分とご多忙の様子で、生徒会業務に騎士団の訓練にと毎日遅くまで頑張ってらっしゃるみたいなのだ。学園を卒業されると同時に近衛騎士団への入隊がもう決まっているらしい。一度、訓練されているお姿を王城で拝見した事があるけれど……それはもう、素敵すぎて鼻血を出してしまった。あの時はタクト様にご心配をお掛けしてしまって、恥ずかしい限りだ。
最近のタクト様はゲームに出てきたタクト様と同じお姿に成長されていた。日々の鍛練によって鍛え抜かれた身体は、制服が窮屈に感じられる程引き締まっていて……その強い腕の中に抱き留められるともう何も考えられなくなってしまう。
そういえばゲームでのタクト様は今よりも脳筋イメージだったのだけど、殿下にそれをお話したら「あぁ、それだと色々お馬鹿すぎて困るからタクトには猛勉強させて少し矯正したんだよね。ふふ、ごめんね」なーんて言われてしまった。メインキャラを矯正してしまわれるキラキラ王子……彼に逆らうのだけは危険だわ。
まぁ、そのお蔭かタクト様は脳筋でなく素晴らしく素敵な貴公子に成長されて。元々ステキ騎士様だったけど、今じゃその魅力も数百万倍にアップしてるよね。(当社比)
「スワン、午後からの馬車の手配は出来てる?」
お茶のお供にと、茶菓子をテーブルに置いてくれたスワンに声を掛ける。
「はい、ご用意出来ておりますよ。いつでも、お声掛け下さいませ。お嬢様」
「ありがとう」
今日は久々に街へ出て、雑貨屋へ買い物に行く予定だ。便箋も買い足したいし、羽ペンも新しいモノが欲しい。業者を邸に呼べば大抵のものは揃うけど、直接お店を見て回るのがわたしは好き。これも前世の影響なのかしらね。
十五歳になられたタクト様は、アルスト殿下やスクト様と一緒に王立学園へと入学された。わたしや悪役令嬢のティアナ様、そしてヒロインは来年入学予定となる。だから今の所、タクト様達はヒロインとは出会ってはいない。
「このまま出逢わなければ良いのだけど、そうはいかないだろうしなぁ……」
読みかけの恋愛小説をテーブルに置き、スワンにお茶のお代わりをお願いした。
ゲーム開始時期が迫って来て、わたしは殿下と打ち合わせた計画を思い返していた。ヒロインはまだ市井に居るらしいが、特徴的なあのピンクの髪色は目立つので殿下が調べたらすぐに居場所が分かったらしい。母親が病に伏せっている事から、恐らくもうすぐ男爵家へ養子入りするだろう。
現時点でのヒロインは調べによると普通の女の子だった。貧しいながらもその愛嬌と可愛らしさから周りの皆に好かれており、おかしな事をする気配は感じられないという。
よくある転生モノでは、転生したヒロインちゃんは実は性格に問題があって次々と攻略対象者を虜にしていき、逆ハーレムを築いた後に王子の卒業パーティで断罪劇を引き起こしていた。そこで逆に悪役令嬢から“ざまぁ”されて王子共々悲惨な結末を迎えるのがパターンと化している。
でも性格に問題も無く普通に恋して攻略対象者と結ばれるのであれば、わたしもアルスト殿下も特にヒロインに対して余計な関わり合いを持たずに温かく見守ろう……わたし達はそう決めていた。ヒロインが転生者かどうかも今の所は分からない。
「わたしがヒロインだったら逆ハーなんて狙わずに、大好きな推し一人と愛を育むのになぁ」
「え、何かおっしゃりましたか? お嬢様」
ボソッと呟いた言葉をスワンに聞き返されてしまった。いけない、いけない、思わず口から出ていたわ。
「いいえ、タクト様はお元気かなーって思っただけよ」
「そうですわねぇ~最近はお見えになっておりませんものね」
学園に入学されてから随分とご多忙の様子で、生徒会業務に騎士団の訓練にと毎日遅くまで頑張ってらっしゃるみたいなのだ。学園を卒業されると同時に近衛騎士団への入隊がもう決まっているらしい。一度、訓練されているお姿を王城で拝見した事があるけれど……それはもう、素敵すぎて鼻血を出してしまった。あの時はタクト様にご心配をお掛けしてしまって、恥ずかしい限りだ。
最近のタクト様はゲームに出てきたタクト様と同じお姿に成長されていた。日々の鍛練によって鍛え抜かれた身体は、制服が窮屈に感じられる程引き締まっていて……その強い腕の中に抱き留められるともう何も考えられなくなってしまう。
そういえばゲームでのタクト様は今よりも脳筋イメージだったのだけど、殿下にそれをお話したら「あぁ、それだと色々お馬鹿すぎて困るからタクトには猛勉強させて少し矯正したんだよね。ふふ、ごめんね」なーんて言われてしまった。メインキャラを矯正してしまわれるキラキラ王子……彼に逆らうのだけは危険だわ。
まぁ、そのお蔭かタクト様は脳筋でなく素晴らしく素敵な貴公子に成長されて。元々ステキ騎士様だったけど、今じゃその魅力も数百万倍にアップしてるよね。(当社比)
「スワン、午後からの馬車の手配は出来てる?」
お茶のお供にと、茶菓子をテーブルに置いてくれたスワンに声を掛ける。
「はい、ご用意出来ておりますよ。いつでも、お声掛け下さいませ。お嬢様」
「ありがとう」
今日は久々に街へ出て、雑貨屋へ買い物に行く予定だ。便箋も買い足したいし、羽ペンも新しいモノが欲しい。業者を邸に呼べば大抵のものは揃うけど、直接お店を見て回るのがわたしは好き。これも前世の影響なのかしらね。
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