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第一章
第十五話 初デート①
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とうとうタクト様とのデートの日がやって来た。前日は早く寝なきゃ、とベッドに入ったものの……タクト様の事を考えるだけで胸がドキドキして止まらず。
こんなんじゃダメだわとギュッと目を瞑って羊を数えてみるものの、なかなか寝付けない。何だか寝不足だ――。遠足が楽しみな小学生かよ、と自分で突っ込んでみる。
朝起こしに来たスワンに目の下のクマを見られてしまい、メイド数人がかりでフェイスマッサージやらボディマッサージやらで朝からピカピカに磨き上げられて、とっておきのワンピースを着せられた。
なんか、わたしよりもメイド達の方が気合入ってる様な……。
「そりゃそうですよ、今日は一世一代の晴れ舞台ですもの」
「晴れ舞台?」
「タクト様にお嬢様の素晴らしさを堪能して頂かなければなりませんからね、ふふ」
「大げさな……」
ちょっと引き気味のわたしと裏腹に、メイド達は期待の眼差しでタクト様の到着を今か今かと待っている。勿論それはお母様も同じだ。
「あぁ、今日もとても可愛いわよゼフィー。これならタクト様にも喜んで頂けるわ」
「は、はぁ……」
まるで自分がデートに行くかの様にキャピキャピとはしゃぐお母様。その姿をお父様もニコニコして見ている。
わたしがタクト様からの寵愛を受けていると知ってからというものの、お父様もお母様もタクト様のお話をされてばかりだ。わたしの知らないタクト様情報が得られるのはありがたい事だけど、何だかこそばゆい。
「ローゼン卿がお見えになりました」
応接室に居るわたし達に、メイド頭が迎えに来た。玄関ロビーへ向かうと、執事長がタクト様と何やら談笑していた。タクト様はわたしの姿に気付くと、嬉しそうに顔をほころばせた。そして笑顔全開でこちらに駆け寄って来る。
うあ……なんか仔犬みたい。耳と尻尾が見えそう。タクト様に見られない様にこっそりと頬が緩むのを抑える。
「ゼフィー、とても素敵だよ」
「あ、ありがとう御座います……」
タクト様にエスコートされながら、ローゼン公爵家の馬車へと乗り込む。我が家の馬車より椅子の座り心地が断然良い。こんな所にもお金掛かってるのか、すごいな。
向かい合って座るとタクト様のお姿が眩しくて目を逸らせなくなる。あのサラサラとした髪を触ってみたい……。少年時代特有の可愛らしさの残るお顔を撫でくりまわしたい……。あぁ、それよりもスマホが欲しい。タクト様の写真とか動画とか撮りまくって、一人ニヤニヤしながら部屋で鑑賞したい。
チラチラとタクト様のお顔を覗き見しているのがバレたのか、バチッと目が合った。
「嬉しいけど、そんなに見つめられると照れるな……」
「わわっ、すみません。つい……」
「いや、構わないけど」
そう言いながら、タクト様はわたしの隣りへと移動して来た。
「手を……繋いでも良いかな」
「は、はいっ」
タクト様はわたしの手を取ると自分の膝の上に置いて、そのまま手を握った。
ぐふぉおおおおおおおおおお! う、上からはタクト様のお手が! 下からはタクト様のお膝が! 何の罰ゲームですか、これは! もう既に死にそうなんですけど!
恥ずかしさと興奮で、もはや半泣きだ。心臓がヤバイ、ヤバすぎる! 好き、好き、好きだぁあああああ! 大好きだよぉおおおお!
「……これは、これで、その……なんだ、凄いな。ゼフィーが可愛すぎて心臓がおかしい」
「わた、し……も、壊れそうです」
二人で真っ赤になりながら「はふっ……」と息をつく。馬車の中に甘酸っぱい空気が大量生産されていく。
――――わたし、今日ちゃんと生きて帰れるかしら。
こんなんじゃダメだわとギュッと目を瞑って羊を数えてみるものの、なかなか寝付けない。何だか寝不足だ――。遠足が楽しみな小学生かよ、と自分で突っ込んでみる。
朝起こしに来たスワンに目の下のクマを見られてしまい、メイド数人がかりでフェイスマッサージやらボディマッサージやらで朝からピカピカに磨き上げられて、とっておきのワンピースを着せられた。
なんか、わたしよりもメイド達の方が気合入ってる様な……。
「そりゃそうですよ、今日は一世一代の晴れ舞台ですもの」
「晴れ舞台?」
「タクト様にお嬢様の素晴らしさを堪能して頂かなければなりませんからね、ふふ」
「大げさな……」
ちょっと引き気味のわたしと裏腹に、メイド達は期待の眼差しでタクト様の到着を今か今かと待っている。勿論それはお母様も同じだ。
「あぁ、今日もとても可愛いわよゼフィー。これならタクト様にも喜んで頂けるわ」
「は、はぁ……」
まるで自分がデートに行くかの様にキャピキャピとはしゃぐお母様。その姿をお父様もニコニコして見ている。
わたしがタクト様からの寵愛を受けていると知ってからというものの、お父様もお母様もタクト様のお話をされてばかりだ。わたしの知らないタクト様情報が得られるのはありがたい事だけど、何だかこそばゆい。
「ローゼン卿がお見えになりました」
応接室に居るわたし達に、メイド頭が迎えに来た。玄関ロビーへ向かうと、執事長がタクト様と何やら談笑していた。タクト様はわたしの姿に気付くと、嬉しそうに顔をほころばせた。そして笑顔全開でこちらに駆け寄って来る。
うあ……なんか仔犬みたい。耳と尻尾が見えそう。タクト様に見られない様にこっそりと頬が緩むのを抑える。
「ゼフィー、とても素敵だよ」
「あ、ありがとう御座います……」
タクト様にエスコートされながら、ローゼン公爵家の馬車へと乗り込む。我が家の馬車より椅子の座り心地が断然良い。こんな所にもお金掛かってるのか、すごいな。
向かい合って座るとタクト様のお姿が眩しくて目を逸らせなくなる。あのサラサラとした髪を触ってみたい……。少年時代特有の可愛らしさの残るお顔を撫でくりまわしたい……。あぁ、それよりもスマホが欲しい。タクト様の写真とか動画とか撮りまくって、一人ニヤニヤしながら部屋で鑑賞したい。
チラチラとタクト様のお顔を覗き見しているのがバレたのか、バチッと目が合った。
「嬉しいけど、そんなに見つめられると照れるな……」
「わわっ、すみません。つい……」
「いや、構わないけど」
そう言いながら、タクト様はわたしの隣りへと移動して来た。
「手を……繋いでも良いかな」
「は、はいっ」
タクト様はわたしの手を取ると自分の膝の上に置いて、そのまま手を握った。
ぐふぉおおおおおおおおおお! う、上からはタクト様のお手が! 下からはタクト様のお膝が! 何の罰ゲームですか、これは! もう既に死にそうなんですけど!
恥ずかしさと興奮で、もはや半泣きだ。心臓がヤバイ、ヤバすぎる! 好き、好き、好きだぁあああああ! 大好きだよぉおおおお!
「……これは、これで、その……なんだ、凄いな。ゼフィーが可愛すぎて心臓がおかしい」
「わた、し……も、壊れそうです」
二人で真っ赤になりながら「はふっ……」と息をつく。馬車の中に甘酸っぱい空気が大量生産されていく。
――――わたし、今日ちゃんと生きて帰れるかしら。
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