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目から脳に伝わらない道なき道を進み、タクシーのような塊はさくちゃんが待っているであろうアパートに着いた。飛び降りて部屋のドアへ、狂いそうな思いで体を。
お願い…お願い…お願いっ…
「…さくちゃんっ…」
我が子はいつものように大きなスリーパーをまとって寝ていた。仏様のような顔だ。寝室に立ち尽くして、息が再開される…。
「楽しかったですか?」
私の分身が私の隣で同じように我が子を見ている。
「こんなリスクのある『楽しい』はいらない…」
「あなたが望んだ『楽しい』ですよ?」
「私はずっと…人と自由に飲んで遊んで発散するばかりの人生だったから…。それ以外の『楽しい』を知らないの…」
笑いたくもないのに、虚しさが口角を少し上げる。
「主人とだって、そういう空間で出会った…。主人は今も同じような生活を続けている…。私は…この子を得ることができた代わりに、そういうのは犠牲にしなきゃいけないって…」
「ありきたりな提案をしていいですか?」
無言で首を振った。
「…私も頭の片隅で考えてた。仕事とか…趣味とか…」
「それです」
「そうよね…、今の私はとにかく何かを見つけなきゃいけない…。何か、何かを」
我が子から目線を少し上げた。
「少し前向きになっていただいたようなので、私から一つだけ呪文をプレゼントします。心苦しくなった時だけ唱えてください」
意識の奥底から動かされるように、私の目は隣にいる分身のマーブル状の瞳に吸い込まれる。
「ただし、新たな『楽しい』を見つけるまでですよ。長期間言い続けてしまうと、中毒になって…」
目の前にある瞳のマーブルが蟻地獄のように。
「死んじゃいますよ、心が」
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