ベルガモットの空言

小春佳代

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片想いだ

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ふと頭に浮かんだ

ビニールシート越しの窓口に立ち
指定された用紙に必要事項を記入しながら
時折、内部にいるスーツ姿の男性陣に
目を向ける

あぁ、あの人も今まさに
こういう雰囲気の職場で
働いているんだろうな

書き終えて
ボールペンを丁寧に返し
促されるままロビーチェアに腰掛けた



やっぱり私
片想いだ

思い上がっていたんだ

会いたいのは私だけだ

思い出すのは私だけだ

スーツ姿のあなたに

会いたい



私の中では
何でもない雑務でさえ
あなたを彷彿とさせる

片想いだ
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