ベルガモットの空言

小春佳代

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結局静かに泣くんだ、いまだに

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君とのやりとりが記された日記を
暗闇で映画の明かりだけが頼りの部屋の中
缶酎ハイ片手にとばしとばし読み返す

「こんなん言うてたんや……あほやな」と
たった一年前の自分なのに
言動が奇異過ぎて逆に感心してしまう

アルコールが入っているから
いつもより君に
相手をして欲しい甘えが強いけど
そおゆうわけにもいかないから
代わりに過去のやりとりを
なぞっているわけだ


缶に残る最後の液体を喉に流し込んで
煌々と光るスマホの画面を確認した

君は私が今日誰とも電話をしないで
一人で飲んでいることを知っているはずだ

でもそんな私の状態を
気にならないらしい


日記の中には
優しい君の言葉が並ぶ

現実の私は
過去の君に相手をしてもらって

あとで寂しくなって

静かに泣くんだ
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