推ししか勝たん！〜悪役令嬢？なにそれ、美味しいの？〜

悪役令嬢、兄を転がす

「というわけで、お兄様もお茶会に参加して下さいませね」

「・・・何がというわけなんだ。僕は嫌だぞ。アナとカイルだけが出ればいいだろ」

　ジュリアンに、ダミアンの婚活お茶会に参加するように言ったら、嫌だと言われた。

　なに、拒否ってるのかしら。

「まぁ！お兄様は不参加ですの？エリザベス様はどんなドレスにしようかと、とても楽しみにしていらっしゃったのに。そうですか。お兄様は不参加ですの。なら、エリザベス様のエスコートはどなたにしましょうか」

「は？エリザベス嬢が参加するのか？」

「ええ。喜んで参加してくださるとおっしゃってくださったのに、お兄様は不参加ですのね。仕方ありませんわ。どなたかエスコートしてくださる方を・・・」

「出る！僕が出るから！」

　やっぱりね。
ジュリアンお兄様は、エリザベス様を溺愛なさっているのよね。

　まるでラノベの中で、ヒロインに傾倒していたジュリアンと同じ。
　いや、それ以上かな。

　そういえば、カイルの私へのヤンデレぶりもラノベの中のヒロインへの対応に似ているわね。

「それでは、エリザベス様のドレスや宝飾品の準備を急いで下さいませね？ああ。お揃いでかまいませんが、お兄様に言い寄ったり、エリザベス様を排除しようとする愚か者がいたら排除しなければなりませんから、覚えておいてくださいね」

「アナお前・・・カイルに似てきたな」

「まぁ！それは褒め言葉と取ってよろしくて？」

　悪口ならどうなるか理解ってるよね？って意味で睨んだら、慌てて目を逸らした。

　カイルに知られたら、酷いお仕置きを受けるわよ？

「まぁいいですけど。お兄様はアデライン公爵家の跡取りなのですから、家族とはいえもう少し言動に気をつけて下さいませ。私は、他の招待客への準備がありますから、詳細はエリザベス様とお話し合って下さい」

「場所はどこでやるんだ？」

「王家所有の離宮をお借りすることにしました。王妃様が私にこだわっているようですから王宮ではしたくありませんし、しかし殿下の婚約者候補を選ぶのが目的ですから我が家などでするのもおかしいですしね」

　離宮なら、王妃様が乗り込んできて余計な茶々を入れることもないだろう。

　まぁ、来たとしてもカイルが居れば問題ないわ。

　あとは、他クラスの生徒が参加したいと言った場合ね。

　メロディを参加させるためにも、家格は問わない予定だし。

　ゾルガー侯爵令嬢、シマント伯爵令嬢、ジョーヌ子爵令嬢、ナーベラル子爵令嬢あたりは参加したいと言うでしょうね。

　今は成績が悪くても、頑張って上がる人もいるだろうし、制限は付けにくいわね。