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最終章

誰を攻略するつもりなの?

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「酷い!いくら王女様だからって、足を出して転ばせるなんて!」

 言われた内容に、首を傾げる。

 私が後ろから歩いて行ったのに、どうやって足を引っ掛けるの?
 しかも私と彼女の間には、イヴァン様がいるのだけど?

 どうすれば、足を出して転ばすことができるの?

 私の足は、某ゴム○○の実を食べた彼みたいに、伸びたりしないのよ?

「何をおっしゃってるのかしら?あの子」

「殿下たちに危害を加える気かもしれないぞ」

「誰か、警備の騎士と先生を呼んで下さいませ」

 この学園では、教師はあくまでも試験官。
 それは今も変わっていない。

 だから、この場合はこの学園で現在一番位の高い私が、目の前の事態を治める役目なのは変わりない。

 でも二年前のチェリー様の件から、警備の騎士が配置され、王族や高位貴族に危害を加えられそうな時、他の学園生が判断して呼ぶことができるようになったの。

 それに、教師も有事には手出しをするようになった。

 お兄様の時のこと、チェリー様の時のこと、問題が大きすぎて学園の在り方に苦情が殺到したのよ。

 いくら通うのが義務とされている学園でも、高位貴族の多くから睨まれたら、存続が危ぶまれるわ。

「どうして信じてくれないんですかっ?私が男爵家の養女だからですか?皆さん、酷いわっ!」

「メルモン男爵令嬢レイナ様。いい加減になさって。殿下は貴女の後ろを歩かれていたのよ。どうやって転ばせるというの?」

「それに君と殿下の間には、殿下の婚約者様がいらっしゃる。それをどう説明するつもりだ」

 私やイヴァン様と、メルモン男爵令嬢との間に立ち、彼女が危害を加えそうになっても私たちを守るように、伯爵家のご令嬢や侯爵家のご子息が彼女を諭す。

 泣いてるご令嬢と、その前に立つ多くのご令嬢やご子息を盾にしている私。

 傍目には、私は悪役に見えるでしょうね。

 これが乙女ゲームなら、私は悪役令嬢というところかしら。王女だけど。

 でも目の前のヒロインさんは、誰を攻略するつもりなの?

 お兄様の時ならわかるわ。
王太子殿下に、その側近候補の高位貴族のご子息。

 でも、今はのよ?

 公爵家のご令嬢は長女だけど一年生。侯爵家のご子息は同学年だけど三男よ。

 伯爵家のご令嬢は長女だけど、他の伯爵家のご子息はみんな次男や三男。

 それはそうよ。
だって、ほとんどが王太子殿下であるラウルお兄様世代に子供を授かっているもの。

 五歳も年下の私世代なら、次男や三男が当たり前よ。

 それで、誰を攻略するつもりなの?
もうほとんどが、嫡男が家を継ぐことは決まっているのに。

 

 
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