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新たな舞台へ

国のための妃を

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 魔力追跡の訓練には集中が必要だから、頭の中を空っぽにして、アストニア様の魔力を追う。

 見失うことなく、左手に戻った魔力にホッと息を吐くと、ポンポンと頭を叩かれた。

「お疲れ様。これで自分の魔力の把握はできたと思う。明日から、魔法についての座学と、簡単な魔法から始めようか」

「はい。ありがとうございます」

 魔法の発動には、魔法というモノに関しての知識が必要だから、座学は必然。
 でも、自分が魔法を使えるってことが嬉しくて、座学すら楽しみだわ。

 そういえば、私の魔力量や使える魔法の属性を聞いてないわ。

「私の使える魔法の属性って何なのかお聞きしても?」

「それに関しては、明日の座学で話すつもりだったんだけど、早く聞きたい?」

「いえ。明日教えていただけるのなら、それでかまいませんわ」

「じゃあ・・・アルフレッド陛下の婚約者については?」

 明日教えてもらえるなら構わないと答えると、アストニア様は少し考えた後にそう尋ねて来た。

 アルフレッド陛下の婚約者。

 気になってはいたけど、魔力追跡の訓練中は集中しなきゃだから、意識しないようにしていた。

 ご本人に聞いても良いかと思っていたけど、アストニア様もご存知なのかしら?

「何かご存知なのですか?」

「アルフレッド陛下には、王弟殿下の謀叛前に、婚約者がいた。当然だよね、王太子だったんだから。そして、陛下はファンブルクに行かれた」

「婚約はそのままで?」

「一応、解消の話は出たらしい。そのまま戻らない可能性もあったからね。でも、陛下は戻って来られた。即位される時に、婚約解消は無効だとご令嬢側から言われてね。即位したとはいえ、まだ地盤が固まっているわけじゃない。筆頭公爵家を無碍にも扱えなかったようだよ」

 つまりは、一応解消はされているけど、相手側はその解消自体が無効だと言っているということ?

 確かに、ご令嬢側のお気持ちも理解できるわ。

 我が国に避難されていた時、多分行き先は知らされていなかったはず。
 命を狙われていたアルフレッド陛下側からの婚約解消は、きっとご令嬢を巻き込まないためでもあったのでしょう。

 でも無事に戻って来られて、国王の座に就かれたのだもの。
 婚約解消はなかったことに、と思われるわよね。

 筆頭公爵家のご令嬢で、元々婚約者だったのなら、ご年齢もアルフレッド陛下とつりあわれているはず。

 他国の、歳の離れた王女なんかより、何倍もサウスクラウド王国のためになるんじゃないかしら。

 私を好きだとおっしゃって下さるけど、アルフレッド陛下はこの国の国王陛下。国のための正妃を迎えるべきだわ。
 
 
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