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効果的な方法

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 閉じ込められた(あっち側視点)部屋の中で、ザギとアマリアと三人でソファーに座る。

 別にこんな部屋すぐに出て行ってもいいけど、向こうの動きを見たかった。

 鍵はかけられてたけど、そんなの普通に壊せるし、そもそも転移ができるから壊さなくても出れる。

 それよりも、部屋に置かれていたお茶とお菓子が気になった。

「これ、毒とかかな?」

「あの王子がもし食べたらを考えたら、何もしてないと思うけどね。そもそも僕らに人間の毒は効かないよ」

「これ、食べたいの?なら姫様は半分人間だからぁ、このお薬飲んどいて」

 アマリアが懐から小さな包み紙を取り出す。

「これ、なに?」

「毒消しの薬よ。ナーガが調合したやつ。毒もしびれ薬もとりあえず何かの薬が使われてたら消してくれるから」

「粉のお薬、飲みにくいから嫌い」

 そういう私に、アマリアは置いてあった水差しからコップに水を注ぎ・・・自分で口に含んだ。

「ん、大丈夫。普通の水だわ。はい、お水口に含んで、ちょっと上向いて~」

 私の鼻をつまんで、アマリアが口に薬を流し込む。

 ゴクリと飲み込んだ私は、涙目でアマリアを見た。

「アマリア、毒が入ってるか分かるなら、アマリアが先に食べたら分かるんじゃ・・・」

「え?あ、はは・・・まぁ、ほら飲んどいて間違いはないから」

「むぅ」

「全部アマリアに味見させてたら、姫様の食べる分減っちゃうよ」

 ザギにまで言われて、尖らせた口を引っ込める。

 テーブルに置かれた焼き菓子に手を伸ばした。

「どう出てくるかな」

「魔法が使えないと思ってるから、侵入して来て拘束かな。僕らがいるけど、丸腰で魔法が使えないなら騎士とかなら拘束できると思ってるのかもね」

「アマリア、武闘派なのに・・・」

 そう。
研究者肌のザギがどの程度強いのかはわからないけど、アマリアは武闘派である。

 ヒョウ?猫?の特性か、身軽だし、こうアクロバティックな動きをする。

 隙を見て私を捕らえたら、と思ってるのかもだけど。

 というか警戒してるのは、男のザギの方なんだろうな。

 アマリア、見た目は十六歳くらいだし。

「どうする?姫様。やって来たら先に拘束する?それともわざと捕まってみる?」

「わざと捕まってどうするの?」

「奴らの目的が分かるよ。それに、誰が絡んでて、誰が知らなかったのかも分かる」

 なるほど?
少なくともあの王子二人は知らなそうだし、誰が絡んでるかとかどうでもいいっちゃいいんだけど、目的は知りたいかも。

 別に捕まって、魔法が発動出来ないように拘束具を付けられても、例のブレスレットを持ってるからその効果を打ち消せることは、装置を取り外した時に確認済みだ。

 となると、取るべき道はひとつかな。
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