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教育係

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「おはようございます、陛下。姫様」

 恭しく頭を下げるのは、メフィスト。
完璧な人型になれるのに、めんどくさいからと山羊のツノはそのままにしているインテリゲンチヤ。

 インテリゲンチヤとは、知識人を意味するらしい。
 メフィストにピッタリだと思う。

 とにかく、色んなことを知っていて、聞けば大体のことは答えてくれる。

 でもって知らないことを聞いたりしたら、速攻で調べに行かれてしまう。

 つまりはシアンの教育係として、彼以上の適任はいないということである。

「めめっ」

「姫様、わたくしはメメではなく、メフィストでございます」

「メメ・・・ット」

「メ・フィ・ス・ト、です」

 無茶言うなぁ。三歳児なんてこんなもんでしょ?

 しっかり擬音とか話せるようになるのって五歳くらいが平均って言われてるような・・・

 違う?え?もしかしてシアンって滑舌悪い?

「メフィスト、無理を言うな。メメでいいではないか。お前を愛称で呼べるのなどシアンくらいだ」

「姫様のは愛称呼びではないでしょう。仕方ありませんね。少しずつ練習しましょうね?」

 圧がすごい。
可愛い三歳児に愛称で呼ばれて、何が不服だってんだ。

 とお腹の中では思うけど、そんなことをメフィストに言ったら、お勉強の時間が倍になってしまう。

 なので、私はにっこりと笑って頷く。

「あい」

「良いお返事です」

 なでなでと頭を撫でるメフィスト。

 魔王様は、自分の席の隣に私を座らせる。

 完全オーダーメイドの椅子である。

 三歳児のシアンが普通の椅子の上に立っても、テーブルまで届かない。

 魔王様はお膝抱っこで食事を食べさせてくれていたのだけど、教育係のメフィストがマナーの勉強のために、と別に座ることを推奨して来た。

 娘ラブな魔王様は反対していたけど、主君を敬うことと何でも言うことを聞くことは違うらしく・・・

 オーダーメイドの椅子が運ばれて来た。

 意外にもこれに喜んだのが、シアン。
 まぁ、女の子っておしゃまというかお姉さんぶりたいというか。

 で、ナイフもフォークも危ないから、スプーン一択だけど、自分の椅子に座って、自分で食事を摂ることに決まった。

 基本、食事の内容は魔王様たちと同じ。

 臣下のメフィストは同じテーブルで食事を摂ることはなかったんだけど、シアンが一緒に食べると泣き喚いた・・・らしい。

 覚えてない。

 なので、今は魔族の幹部は時間が合えば一緒に同じテーブルで食事を摂る。

 ご機嫌でスープを飲んでいると、ヒョウのような獣人が入って来た。
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