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なめられたものです
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結局、マルティス男爵令嬢は今回は叱責だけということになりました。
いえ。アルフレッド様は国外追放だとか、王妃様まで最低でも1ヶ月は投獄しておくとかおっしゃってましたけど。
ですが、学園にも入学したばかりですし、マルティス男爵自身はとても善良な方なんです。ちょーっと娘さんの頭の中がお花畑だっただけで。
なので、今回限りと言うことで恩赦をいただきました。
男爵がキチンと躾けてくだされば、それでいいと思います。
ただー
あの時の私の対処は失敗だったと思います。あの時というのは、アルフレッド様の胸に顔を伏せてしまったことです。
私はあの時、気丈に振る舞うべきでした。公爵令嬢として、凛としておくべきでした。
たった3年の時間では、シルヴィア様のように凛として振る舞うことができませんでした。
悲しさや悔しさに感情的になってしまうのです。それが正しいことでないと分かってはいるのですが。
あの時のせいだと思うのです。最近、伯爵令嬢たちに妙に絡まれるのは。
我が国の公爵家、侯爵家のご令嬢は皆さん私のお友達です。まぁ、皆さん攻略対象の婚約者の方々なので、あのお茶会から仲良くさせていただいてます。
ですから、私に何かしてくるのは、伯爵家以降の貴族の方々です。
もちろん、あのお花畑さんのように直接何かをしようとする方はいません。それはそうです。たとえ元平民でも公爵家の娘相手に何かしたら大問題です。
普通の方はそんなこと分かっています。
なので、されることといえば、さりげなくぶつかられる。もちろん謝ってくださいます。
私の荷物に飲み物をこぼす。これももちろん謝ってくださいます。
アルフレッド様の婚約者でありながら、レオンハルト殿下や宰相の次男を始めとした、いわゆる攻略対象たちに擦り寄っていると噂をする。噂ですからね、追及もできません。
そろそろ、うんざりしてきました。
攻略対象たちに擦り寄るわけがないでしょう。彼らは自分の婚約者の方を好いていらっしゃるのですから。
大体、ヒロインになりたくなくてレオンハルト殿下との婚約を避けた私が、何故すり寄らなければならないのですか。
そして、今日。
とうとうぶつかられ噴水に落ちてしまいました。
学園の噴水は深さが1m近くあります。
溺死する深さではありませんが、制服は水を吸って重く、髪も水に浸かってしまっています。
「あらぁ!申し訳ございません、ジェラルド公爵令嬢。大丈夫ですか?」
「水も滴って・・・お美しい方はどこにいてもお美しいですわね」
「まぁ!ほほほ・・」
本当に、この方々は・・・
私をなめているのですね。何をしても謝りさえすれば私が許すだろうと。
この方々は、必ずシルヴィア様たちがいない時に私にちょっかいを出します。シルヴィア様は怖いですから、無理もありません。
ですが。私にも限度というものがあるのですよ?
「ブランディア伯爵令嬢は、何かにぶつからずに歩けない方のようですね」
私の冷ややかな声が辺りに響き渡りました。
いえ。アルフレッド様は国外追放だとか、王妃様まで最低でも1ヶ月は投獄しておくとかおっしゃってましたけど。
ですが、学園にも入学したばかりですし、マルティス男爵自身はとても善良な方なんです。ちょーっと娘さんの頭の中がお花畑だっただけで。
なので、今回限りと言うことで恩赦をいただきました。
男爵がキチンと躾けてくだされば、それでいいと思います。
ただー
あの時の私の対処は失敗だったと思います。あの時というのは、アルフレッド様の胸に顔を伏せてしまったことです。
私はあの時、気丈に振る舞うべきでした。公爵令嬢として、凛としておくべきでした。
たった3年の時間では、シルヴィア様のように凛として振る舞うことができませんでした。
悲しさや悔しさに感情的になってしまうのです。それが正しいことでないと分かってはいるのですが。
あの時のせいだと思うのです。最近、伯爵令嬢たちに妙に絡まれるのは。
我が国の公爵家、侯爵家のご令嬢は皆さん私のお友達です。まぁ、皆さん攻略対象の婚約者の方々なので、あのお茶会から仲良くさせていただいてます。
ですから、私に何かしてくるのは、伯爵家以降の貴族の方々です。
もちろん、あのお花畑さんのように直接何かをしようとする方はいません。それはそうです。たとえ元平民でも公爵家の娘相手に何かしたら大問題です。
普通の方はそんなこと分かっています。
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私の荷物に飲み物をこぼす。これももちろん謝ってくださいます。
アルフレッド様の婚約者でありながら、レオンハルト殿下や宰相の次男を始めとした、いわゆる攻略対象たちに擦り寄っていると噂をする。噂ですからね、追及もできません。
そろそろ、うんざりしてきました。
攻略対象たちに擦り寄るわけがないでしょう。彼らは自分の婚約者の方を好いていらっしゃるのですから。
大体、ヒロインになりたくなくてレオンハルト殿下との婚約を避けた私が、何故すり寄らなければならないのですか。
そして、今日。
とうとうぶつかられ噴水に落ちてしまいました。
学園の噴水は深さが1m近くあります。
溺死する深さではありませんが、制服は水を吸って重く、髪も水に浸かってしまっています。
「あらぁ!申し訳ございません、ジェラルド公爵令嬢。大丈夫ですか?」
「水も滴って・・・お美しい方はどこにいてもお美しいですわね」
「まぁ!ほほほ・・」
本当に、この方々は・・・
私をなめているのですね。何をしても謝りさえすれば私が許すだろうと。
この方々は、必ずシルヴィア様たちがいない時に私にちょっかいを出します。シルヴィア様は怖いですから、無理もありません。
ですが。私にも限度というものがあるのですよ?
「ブランディア伯爵令嬢は、何かにぶつからずに歩けない方のようですね」
私の冷ややかな声が辺りに響き渡りました。
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