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「アスターが止めに行ったね」
シーダの声に兄様たちの方を見ると、アスター様とカトレア様が、サフィニア様に絡もうとしているデイジーを止めようとしている。
止まらない・・・わよね、多分。
デイジーはおそらく転生者で、しかもお花畑ヒロイン。この世界が自分のためのものだって思っていそうだもの。
というか、もし転生者でなかったら、逆に怖いわ。あんなふうに思い込めるって、常識じゃあり得ないもの。
「せっかくの舞踏会なのに、進行役の方のご迷惑になってしまいますね。私たちも行きましょうか」
「・・・分かった。けど、僕の後ろから出ないで。あと、トリヤとシーダはどうする?」
「僕は行くけど・・・トリヤはやめといた方がいいんじゃない?」
シーダにそう言われて、トリヤ様は少し迷ったあと、首を横に振った。
「俺も行く。俺が曖昧な態度を取ってたから、デイジー・・・いやユーカリプタス嬢は勘違いしたのかもしれない。ちゃんとケジメをつけるべきだと思う」
トリヤ様は、良くも悪くも真っ直ぐなのよね。
だから、自分を頼ってくるデイジーを突き放せなかった。
だから、今デイジーのしていることはデイジーの罪なのに、自分のせいだと思っている。
甘いといえばそうだけど、そこがトリヤ様の良いところ、よね。
「お前は本当に優しいというか、なんというか。でも、お前がその優しさを使う相手は隣にいるリンデン嬢にじゃないのか?あんな危険な女のところに彼女を連れて行くのか?それとも、見知らぬこの場所にひとりで放置するつもりか?」
「・・・ッ!」
「あっ、あのっ!私は平気ですから!これでもリンデン伯爵家の娘です」
トリヤ様を責めるシスルに、アゼリア様が声を上げる。
アゼリア様の、リンデン伯爵家は武に長けたお家柄だ。
だからこそトリヤ様の、女心を全く分かっていない、馬術や護衛術を教えるというデートに不満ひとつ持たなかったのだ。
むしろ、楽しそうだった。
リンデン伯爵家では、いずれ嫁に行くアゼリア様が、武に長けていると婚約が決まらないかもしれないと、アゼリア様には武に関する教育はしていなかったそうだ。
兄弟がしていることをさせてもらえないことは、アゼリア様には寂しいものだったようで、トリヤ様との交流が楽しかったのだと聞いた。
「わたくしがお側にいますわ。それならよろしいでしょう?フロックス様」
「シスル様。私、あの方のためにもキチンと話をつけた方が良いと思います。ダフォディル様が誰を選ぶのか。エルム兄様や、クリサンセマム様が誰を選んだのか。ちゃんと本人に理解させた方が良いです」
ジニア様と私がそう言うと、シスルは大きくため息を吐いた。
「馬鹿に何言っても理解しないと思うけどね」
シーダの声に兄様たちの方を見ると、アスター様とカトレア様が、サフィニア様に絡もうとしているデイジーを止めようとしている。
止まらない・・・わよね、多分。
デイジーはおそらく転生者で、しかもお花畑ヒロイン。この世界が自分のためのものだって思っていそうだもの。
というか、もし転生者でなかったら、逆に怖いわ。あんなふうに思い込めるって、常識じゃあり得ないもの。
「せっかくの舞踏会なのに、進行役の方のご迷惑になってしまいますね。私たちも行きましょうか」
「・・・分かった。けど、僕の後ろから出ないで。あと、トリヤとシーダはどうする?」
「僕は行くけど・・・トリヤはやめといた方がいいんじゃない?」
シーダにそう言われて、トリヤ様は少し迷ったあと、首を横に振った。
「俺も行く。俺が曖昧な態度を取ってたから、デイジー・・・いやユーカリプタス嬢は勘違いしたのかもしれない。ちゃんとケジメをつけるべきだと思う」
トリヤ様は、良くも悪くも真っ直ぐなのよね。
だから、自分を頼ってくるデイジーを突き放せなかった。
だから、今デイジーのしていることはデイジーの罪なのに、自分のせいだと思っている。
甘いといえばそうだけど、そこがトリヤ様の良いところ、よね。
「お前は本当に優しいというか、なんというか。でも、お前がその優しさを使う相手は隣にいるリンデン嬢にじゃないのか?あんな危険な女のところに彼女を連れて行くのか?それとも、見知らぬこの場所にひとりで放置するつもりか?」
「・・・ッ!」
「あっ、あのっ!私は平気ですから!これでもリンデン伯爵家の娘です」
トリヤ様を責めるシスルに、アゼリア様が声を上げる。
アゼリア様の、リンデン伯爵家は武に長けたお家柄だ。
だからこそトリヤ様の、女心を全く分かっていない、馬術や護衛術を教えるというデートに不満ひとつ持たなかったのだ。
むしろ、楽しそうだった。
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「馬鹿に何言っても理解しないと思うけどね」
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