乙女ゲームの正しい進め方

みおな

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 私たちは、比較的うまくやれていると思う。

 それぞれに婚約者候補が決まったことで、シスルのヤンデレ感も落ち着いた気がした。

 ただ・・・
アゼリア様とトリヤ・ダフォディル伯爵令息のところが問題だった。

 単にお互いの相性が悪いのなら、それは仕方ない。
 政略結婚と割り切るか、もしくは他に候補を探すか。

 トリヤは伯爵令息だから、子爵家や男爵家なら、近しい年齢のご令嬢もいないわけではない。

 王太子妃には無理でも、伯爵家夫人なら子爵家のご令嬢でも支障がないからだ。

 そしてアゼリア様も、アゼリア様のご年齢のご子息なら多くいる。

 あくまでも、四人の候補は、王太子であるエルム兄様の婚約者候補として集められたのだ。

 最初は、とても仲睦まじく出来ていたらしい。

 脳筋とまではいかないが、王太子の護衛騎士を目指すトリヤは、体を動かすことが好きなアゼリア様と気が合ったようだった。

 乗馬を教わったとか、護衛術を教わったとか「いや、何?十歳のご令嬢に何教えてんの?」とか思うことをよく聞いたけれど、アゼリア様も楽しそうで、本人たちが良いならと思っていた。

 それに影が差し始めたのは、十日ほど前からだ。

 それまで毎日、リンデン伯爵家を日参していたトリヤが訪れなかった。

 急な用事が出来たと連絡は来たから、アゼリア様も何も思わなかったらしい。

 翌日も「今日も行けない」と連絡が来た。

 それが三日、四日と続き、お忙しいのに日参させていたことを申し訳ないとアゼリア様が、差し入れを持って自分から会いに行こうと思われたのは、二人の仲が良好だった証拠だろう。

 そして学園の正門前で、待っていたアゼリア様が見たのは、その左腕に女性をまとわり付かせたトリヤだった。

「金色の髪にオレンジ色の瞳の、可愛らしい方で、ダフォディル様もとても仲睦まじくお話されていた」

 そんな話を聞いたのは、トリヤがリンデン伯爵家を訪れなくなって十日経った、今日のことだ。

 サフィニア様のところの侍女と、アゼリア様のところの侍女が親友らしく、アゼリア様付きの侍女に「どうかお嬢様を元気付けて欲しい」と頼まれたらしい。

 アゼリア様と一緒に正門で待っていた侍女は、傷ついたアゼリア様をとても心配しているそうだ。

 馬車の中にいたから、トリヤはアゼリアの存在に気付いていない。

 とてもじゃないが、ただの友人には見えなかった。
 他に想う方がいるのなら、候補から外れて、アゼリアお嬢様には他の候補の方をと、侍女は言っているそうだ。

 リンデン伯爵たちに伝えられていないのは、アゼリア本人が両親には自分から言うから絶対に言わないでと言われているかららしく、それでも心配な侍女は、サフィニア様の侍女に相談したらしい。

 私はため息を吐いた。
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