乙女ゲームの正しい進め方

みおな

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 一応、十五人全員のご令嬢と挨拶はした。

 決めるのはエルム兄様であって、私ではない。
 だけど、私が好感を持てたのは、ジニア様と、十歳の伯爵令嬢の二人だけ。

 王太子妃になるわけだし、もちろん出世欲とか、家の思惑とか分からないでもないけど、あのガツガツしてるのが透けて見えるのは、未来の王太子妃としてどうなの、って思う。

 私だって、貴族としての政略結婚の意味は理解している。

 だから、好きな人と一緒になれないなんてかわいそう、とかそういうことを言うつもりはない。

 好きだからって、王太子が男爵家や子爵家のご令嬢と婚姻なんて大変だもの。

 出来ないとは言わない。
本人の能力が高くて、貴族としてのマナーも完璧で、他国語やその他諸々を高位貴族並みに理解している人ならば。

 どうしても相手が高位貴族になるのは、彼女たちは幼い頃からマナーも勉強も厳しく教えられているから。

 そして、下の者に侮られないっていうことも大切だから。

 彼女たちは、最年長のジニア様でも十三歳。
 だから、完璧にガツガツ具合を隠せとまでは言わないけど・・・

「がっつき過ぎでしょ」

 思わず本音がもれた。

 エルム兄様が私を可愛がってるのを知っているからか、まぁ八歳のガキに媚びる媚びる。

 ギリギリセーフは、十二歳の侯爵令嬢と、十一歳の公爵令嬢。
 あとはなぁ・・・

「ふふっ。アイリス様、お心の声がもれてましてよ」

「聞かなかったことにして下さい、ジニア様」

「お気持ちは理解しますわ。貴族令嬢としてのお役目だと言いましても、もう少し上手に振る舞えないのかしら」

「ジニア様やアイリス様のようには、我々はとても・・・」

 クスクスと笑いながらそう言うのは、十歳の伯爵令嬢であるアゼリア・リンデン様。
 エメラルド色の髪と瞳をされた、可愛らしい容姿のご令嬢だ。

 紫色のドレスばかりの中で、淡いクリーム色のドレスのジニア様と、レモンイエロー色のドレスのアゼリア様は、逆に際立っていた。

 ちなみに今日の私のドレスは、桃色のドレスに銀の刺繍入り。

 お察しの通り、シスルからの贈り物だ。
さすがに銀のドレスは夜会じゃあるまいしっていうので刺繍と、髪飾りは銀色だ。

 エルム兄様は、白の上下に、なぜかシャツが淡いピンクだった。

 私の瞳の色を纏ってどうする。
そういうところなんだよね、お母様の逆鱗に触れるところ。

 大体、私とエルム兄様は兄妹なんだから、シスコン以上の何者にもなりようがないのに。

 あのシャツのエルム兄様を見た時のお母様の顔が、笑顔なのにブリザードが吹き荒れてたわ。



 

 
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