乙女ゲームの正しい進め方

みおな

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 エルム兄様は、大喜びで交流祭への訪問を許してくれた。

 というか、来て欲しいけど、みんなに会わせたくないとかなんとか訳のわからんことをブツブツ言っていた。

 会わせたくないってなんで?
アイリス、可愛いと思うんだけどな。自慢の妹じゃないの?
 最近、表情筋もだいぶ働くようになってきたし、会話も増えたんだけど。

 そしてお父様たちにまで来て欲しいと、お願いを始めた。

「父上も母上も、アイリスと共に来ていただけませんか?」

「まぁ!私たちも?しかし、私たちが行くとなれば警備が大変でしょう」

 お母様が警備のことを考えて、躊躇われている。
 きっとエルム兄様は、自分の晴れ姿をお父様たちに見て欲しいんだと思う。

 お父様たちは、家族との距離を詰めようとしているアイリスにべったりだから。

 ここは少々大変だけど、行ってみてあげるべきだと思う。
 赤ちゃん返りじゃないけど、ちゃんとエルム兄様のことも大事だよって示してあげた方がいい。

「お母様。エルム兄様が望まれるのならー」

「父上たちがご一緒なら、アイリスに近寄る不埒者もいないでしょうから、お願いします」

 ん?
エルム兄様、今なんて言った?

 晴れ姿を両親に見てもらいたいんだよね?
 私に近寄る不埒者への防御として、お父様たちの来訪を願ってるんじゃないよね?

 うん。
聞かなかったことにしよう。

 大体、王族が護衛も付けずにひとりでウロウロするわけないわけで、私も護衛と侍女と一緒に行くつもりだったし。

 でも何だかお父様もお母様も妙に納得しちゃって、ずっとというわけにはいかないけど、私と一緒に交流祭に行くことになった。

 護衛と警護の皆さん、ご苦労様です。

 エルム兄様も、ずっと私たちにかかりきりというわけにはいかないので、私もお父様たちが帰る時に一緒に帰るようにと言われた。

 まぁ私は、とりあえずヒロインと、他の攻略対象たちの様子が見たいだけなので、大人しく頷いておいた。

 もし攫われたりとかされたら、護衛や警備の人の首が飛んじゃうからね。
 勝手なことはしないよ。

「シーラ。学園ってどんなところ?」

 私付きのメイドであるシーラは、伯爵家の三女だそうで、当然学園も卒業している。

「そうですね。学園には貴族は絶対に通わなければなりません。卒業しないと、貴族と認められず、家を継ぐことはもちろん、社交などもできませんから」

「私も、同じ」

「はい。王族の方も例外ではありません。学園は十三歳から十五歳までの三年間通います。遠方から通う生徒用に寮もあります。クラスはSクラスからDクラスまで。成績順に一年ごとに変わります」

 うん。乙女ゲームの設定通りだわ。
エルム兄様をはじめとする攻略対象とヒロインはSクラスのはず。

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