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予想通りだったわ
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パパとノイン、ラーヴァナ様の分の刺繍が終わった頃、レイがサウロン様の分の刺繍を終えた。
本当に苦手なんだ。
まさか、私が三枚刺すのより遅いとは思わなかったわ。
でも、別にスピードじゃないものね。
時間がかかるなら、その分早くから刺し始めれば良いだけ。
刺繍には、各々の瞳の色を使った。
金の瞳のパパは、金色の鳳凰を。
青い瞳のノインは、青い龍を。
赤い瞳のラーヴァナは、赤い薔薇の花を。
黒い瞳のサウロンは、黒い犬を。
刺繍の図案は、レイが前世の礼子の知識から色々と考えてくれた。
例えばノインの龍というのは、私の知ってる魔物のドラゴンとは違うのに、レイのいた世界の・・・物語?の中では同じ「りゅう」と呼ぶのですって。
漢字?というのが違うらしくて・・・よくは分からなかったけど、礼子のいた世界の神話?の方のりゅうが龍なんだとか。
どっちもかっこいいけど、青い色なら龍の方がとか言われたわ。
パパの鳳凰というのも架空のものらしいんだけど、尊ばれる生き物らしくて、ならパパにピッタリかなって。
ラーヴァナは女性だから、綺麗系にしたの。真っ赤な薔薇はラーヴァナに似合ってると思う。
サウロンの犬は、レイの言うところの、冥界の番人なんですって。ケルベロスと言って三つの頭を持つ犬だとか。
私がパパとノインのをするのは決定だったんだけど、レイにサウロン様のをしてもらったのは、サウロン様がレイを気に入ってるみたいだから、なの。
同じもらうなら、好きな人からが良いわよね。
「これを・・・パパにか?」
「素晴らしいですね。なんて美しい」
「すっごい綺麗。私に花なんて似合うかな」
「コレって・・・犬?頭が三つあるけど・・・え?レイちゃんが作ってくれたの?僕、宝物にするっ!」
渡した反応は、まぁ想定内だった。
パパは私が渡したハンカチを、胸がいっぱいだというように抱きしめる。
ノインは、刺繍された龍に見惚れたような表情だった。
ラーヴァナは、女性らしい図案に恥ずかしそうに笑って。
サウロン様はケルベロスの図案に首を傾げながらも、レイが刺したと知って感激していた。
良かったわ。喜んでもらえたみたい。
「しかし、どうしたのだ?魔族は人間と違い、別に淑女だからと刺繍やダンスを必修しなければならないわけじゃないぞ?」
「そういうんじゃなくて、みんなにお礼がしたかったの。それにもう、ローズリッテだった頃の過去には決別して、ロゼとしてしたいことをしていきたいなって思って」
別に必修だったからとかじゃなく、刺繍は好きだったわ。
もっと大きくなれば、パパの身の回りのものに、私が全て刺繍したいな。
本当に苦手なんだ。
まさか、私が三枚刺すのより遅いとは思わなかったわ。
でも、別にスピードじゃないものね。
時間がかかるなら、その分早くから刺し始めれば良いだけ。
刺繍には、各々の瞳の色を使った。
金の瞳のパパは、金色の鳳凰を。
青い瞳のノインは、青い龍を。
赤い瞳のラーヴァナは、赤い薔薇の花を。
黒い瞳のサウロンは、黒い犬を。
刺繍の図案は、レイが前世の礼子の知識から色々と考えてくれた。
例えばノインの龍というのは、私の知ってる魔物のドラゴンとは違うのに、レイのいた世界の・・・物語?の中では同じ「りゅう」と呼ぶのですって。
漢字?というのが違うらしくて・・・よくは分からなかったけど、礼子のいた世界の神話?の方のりゅうが龍なんだとか。
どっちもかっこいいけど、青い色なら龍の方がとか言われたわ。
パパの鳳凰というのも架空のものらしいんだけど、尊ばれる生き物らしくて、ならパパにピッタリかなって。
ラーヴァナは女性だから、綺麗系にしたの。真っ赤な薔薇はラーヴァナに似合ってると思う。
サウロンの犬は、レイの言うところの、冥界の番人なんですって。ケルベロスと言って三つの頭を持つ犬だとか。
私がパパとノインのをするのは決定だったんだけど、レイにサウロン様のをしてもらったのは、サウロン様がレイを気に入ってるみたいだから、なの。
同じもらうなら、好きな人からが良いわよね。
「これを・・・パパにか?」
「素晴らしいですね。なんて美しい」
「すっごい綺麗。私に花なんて似合うかな」
「コレって・・・犬?頭が三つあるけど・・・え?レイちゃんが作ってくれたの?僕、宝物にするっ!」
渡した反応は、まぁ想定内だった。
パパは私が渡したハンカチを、胸がいっぱいだというように抱きしめる。
ノインは、刺繍された龍に見惚れたような表情だった。
ラーヴァナは、女性らしい図案に恥ずかしそうに笑って。
サウロン様はケルベロスの図案に首を傾げながらも、レイが刺したと知って感激していた。
良かったわ。喜んでもらえたみたい。
「しかし、どうしたのだ?魔族は人間と違い、別に淑女だからと刺繍やダンスを必修しなければならないわけじゃないぞ?」
「そういうんじゃなくて、みんなにお礼がしたかったの。それにもう、ローズリッテだった頃の過去には決別して、ロゼとしてしたいことをしていきたいなって思って」
別に必修だったからとかじゃなく、刺繍は好きだったわ。
もっと大きくなれば、パパの身の回りのものに、私が全て刺繍したいな。
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