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え?私の侍女になるの?

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「では、聖女。お前はアークラインの王太子に興味はないということだな?」

「はいっ!」

 パパの言葉に、レイニー様がしっかりと頷く。

 興味ないんだ・・・
私、何のために処刑されたのかしら。

「それでロゼ。聖女をどうしたい?」

「?」

「聖女にローズリッテを貶めるつもりはなかったにしろ、原因になったのは事実だ。痛い目に合わせるか?」

 レイニー様が私をロゼに生まれ変わらせたのに?

 さすがに寝覚が悪いわ。
もし、彼女がセドリック様に処刑を唆したのなら、話は別だけど。

 でも唆したとしても、今のレイニー様とは別人なのよね?

 殺されたくないから、嘘をついているという感じではないし、信じてもいいと思うの。

「私は事実が知りたかっただけだから、もういいの。レイニー様、どうされますか?また元いた場所に戻られます?」

 どこから連れてきたのかは分からないけど、ラーヴァナに頼んだら行きたいとこへ連れてってくれると思う。

「あ!あの!私、ローズリッテ様・・・ロゼ様の侍女になりたいですっ!」

「は?」

「ですから侍女です!あ。もちろん見習いからで」

 何を言ってるのかしら?
聖女であるレイニー様が、魔王の娘の侍女?

 もう聖女の力はないのかもしれないけど。

 あ。
お金がない?

 元々は男爵令嬢だったわけだし、聖女としてのお仕事でお給金は発生してなかったか、レイニー様の手元には入ってなかったのかもしれない。

 セドリック様は、レイニー様に贈り物はしていただろうけど、あのパーティーのあとすぐにアークライン王国から逃げ出したのなら、持ち出せるものは少なかったかも。

「パパ。レイニー様にお金あげて欲しい」

「ん?ああ、わかった。ノイン、ロゼを救った褒賞を聖女に出しておけ」

「かしこまりました」

「あのッ!褒賞をくれるのならっ!ロゼ様の侍女にしてくださいっ」

 パパが私のお願いをきいて、いくらかは分からないけどお金をくれるというのに、レイニー様は侍女になりたいと言う。

「どうしてそんなに、ロゼ様の侍女になりたいのですか?何か企んでるのなら、ただではすみませんよ」

「聖女ではなくなったのにまだセドリックが私のこと探してるみたいで、同じところには長くいられなくて!大体、ローズリッテ様を殺したセドリックなんかと結婚なんて冗談じゃないし!魔国なら、セドリックもさすがに探せないだろうっていうか。そ、それに、ローズリッテ様・・・ロゼ様可愛いし」

「・・・」

「あー、この子ほんとに何も企んだりしてないと思うわぁ。アークラインの人間から逃げてたのも本当だし、短期間で居場所を変えてたのも本当」

 ラーヴァナが助け舟を出すように、レイニー様の言葉に餌がないと伝える。

 ずっと逃亡生活だったの?セドリック様から逃げて。

 なら、私がセドリック様に仕返しするまで、魔国で暮らしてもらうのもいいかもしれない。

 逃げ続けるの、大変だもの。
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