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モブ、土下座される。

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「「本当に、申し訳ありませんでした」」

 綺麗なユニゾンで、しかも1人は土下座付きで、謝罪された。

 いや。ここが貸切のカフェの1室であったとしても、他に誰もいないとしても、ど、土下座はやめて。
 どこに、公爵子息に土下座させる伯爵令嬢がいるってのよ。

「や、やめて下さい。困ります」

 慌てて、土下座中のエドワードと、深々と頭を下げているカレリアを止める。

 カレリアの綺麗なアメジストの瞳からは、ポロポロと真珠のような涙が溢れていた。

 うわぁ。可憐な美少女は、泣き顔まで綺麗だわ。

「カレリア様に謝っていただくようなことはありません。ああ、もう!目が腫れてしまいますから、泣き止んで下さい」

「だって・・・だって・・・」

「怒ってませんから!ね?泣き止んで下さい。キンバレー様も立ち上がって、カレリア様の涙を拭って差し上げて下さい!!」

「し、しかし、僕は・・・」

 ええい!めんどくさいな。
私はエドワードなんてどうでもいいの!カレリアとかイレーヌとかと仲良くしたいだけなの!

「さっさと立つ!可愛いカレリア様の目が腫れたらどうするんですか!」

 公爵子息相手に、言い方に問題があるかもしれないが、土下座されたままよりはいいだろう。

 私がキツい口調で命令すると、やっとエドワードがのそのそと立ち上がった。

 カレリアの頬を、ハンカチでそっと押さえるけど、なかなか泣き止まない。

「失礼します。アイル様」

 どうしようかと困っていると、軽いノックの後に、シキが入ってきた。

「シキ」

「タオルを持って参りました」

 おおぅ。さすが出来る男。
泣いて目が腫れるというのは、涙の成分で炎症をおこしているってことだから、冷やすのがいいのよね。

 私はシキからよく冷えたタオルと、温めたタオルを受け取った。

「さあ、カレリア様。まずは冷やしたタオルを当てて下さい」

「・・・はい」

「目の周りが冷たくなったら、次はこっちの温タオルを」

 交互に当てれば、血行が良くなって、少しは改善されるはず。

「大丈夫?カレリア」

「本当に、ごめんなさい、アイル様。私が、私がちゃんとエドワード様にお話していなかったからっ!アイル様に不快な思いをさせてしまいましたわ」

「いや!カレリアが悪いんじゃない。僕がいけないんだ。申し訳ない、ローラン嬢。僕のことなら、いくらでも罵ってくれて構わない。だから、カレリアと今まで通りに親しくして欲しい!」

 どうやら、私がカレリアと友達解消と言ったことで、エドワードはカレリアに泣かれ、詰られ、婚約解消とまで言われたらしい。

 あー。
カレリア大好きエドワードにとったら、それは死刑宣告みたいなものよね。
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