転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、戸惑う。

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「は?え、と、お父様?」

 何か、おかしなことが聞こえた気がする。
 シキと婚約?
シキって、あのシキだよね?私の侍従の。

「シキなら、構わないよ。アイルのことを大切にしてくれているし、よく気がつくし、仕事も出来る。それに、アイルもシキには心を許していることだし」

「えっと、でも、あの、シキは侍従だから、殿下が納得しない気が・・・」

「ふふっ。心配しなくて大丈夫よ。陛下と王妃殿下に説明して婚約許可書を出してもらっておくわ」

 お母様が、それはそれは綺麗な笑顔で断言した。

 この国では、貴族の婚約には、国王陛下の許可がいる。
 それは婚約解消の時も同じで、陛下の許可があって初めて認められる。

 まぁ、平民と違って、貴族の婚約は家と家の契約のようなものだから、問題が起きないように、という配慮なのだ。

 つまりは、来年ヒロインが登場して、ヴェルハルトたち攻略対象が彼女と婚約しようとするならば、自分たちの親を納得させた上で、陛下の許可を得なければ、婚約者にはなれないということだ。

 ちなみにこの国では、3年以上白い結婚だったり、妻が子供を授からなかった場合は、側妃や愛妾を娶ることが認められている。

 ラノベの原作では、ヴェルハルトは婚約者のイレーヌの悪行?を公にして、陛下から婚約解消の許可を得た。

 書いといてなんだけど、婚約者がいながら、他の令嬢に浮気しといて、と思う。
 まぁ、編集さんの意見で、イレーヌは結構酷いことをヒロインにしてたけど。

 えーと。えーと。
シキと、婚約?

 今、シキはこの部屋の中にはいない。
だから私は、首を横に振った。

「駄目です」

「あら?どうして?シキのこと、嫌い?」

「そうではなくて・・・シキの気持ちを無視して、私の婚約者にしたくないのです。シキにだって好きな人がいるかもしれないでしょう?」

「あら、それなら大丈夫よ。シキは、アイルのことが好きだもの」

 ・・・はい。爆弾発言、いただきました。

 お母様は、満面の笑みだし、お父様も否定しないけど、どうしてそんな断言できるの?

 だって、シキは本当にイケメンだ。
長身、痩躯、容姿端麗、その上仕事も出来る。

 そんなイケメンが、私のことを好き?
いやいやいや。
 確かにアイルはお母様似で、それなりには可愛いと思う。思うけど、さすがにそこまで自惚れるほど自意識過剰ではない。

「シキに聞いて、シキがいいって言ったら、構わない?」

「お父様やお母様に尋ねられたら、シキは断れないと思います。ですから・・・」

「それなら、ねぇ、エリル。シキにアイルの婚約者になりたいか聞いてくれない?」


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