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第三十八話
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お父様の抗議のお手紙を受け、ブレンディ侯爵ご夫妻とイーサン様の弟君が我が家にいらっしゃいました。
何故、当人のイーサン様がいらっしゃらないのかしら。
いえ、別に会いたくはありませんけど。
どうせ会っても反省するどころか、私を罵りそうですし。
さすがに私の両親と、ご自身のご家族の前ではそこまではなさらないかしら?
「父上!」
「・・・も、申し訳ございませんでした」
「息子に促されなければ出来ない謝罪など、なんの意味もないな」
お父様、本当のことを言ってはいけませんわ。
馬鹿・・・阿呆・・・愚か・・・ええと、わ、悪い方ではないのでしょうけど、貴族当主としては能力不足ですわね。
イーサン様のあの馬鹿な行動を監視もせず、国王陛下の手のひらの上で転がされ、ブレンディ侯爵家の未来に暗雲をもたらしたのは、間違いなく現侯爵様ですわ。
さっさとイーサン様を再教育なさるか、私との婚約を解消してイーサン様を廃籍なさるかすれば、良かったんですわ。
「国王陛下相手に逆らえないのは仕方ないと思うが、息子の監視すら出来ないようではな。言っておくが、あんな愚か者を我が家で面倒を見るつもりはないぞ。爵位が継げないとはいえ、あまりに酷すぎだ」
「そ、それは・・・」
「そもそも、ブレンディ侯爵家の融資のための婚約なのに、何故あんな愚者を引き受けねばならんのだ?ヤツは最初から我が娘を見下していたぞ?すぐには婚約の解消はできんからな、様子を見ていたが悪化する一方だ」
「・・・いや、あの・・・」
お父様。もうこの際だからと、言いたいことを全ておっしゃってますわね。
まぁ、ドロシー王女殿下とアルバート様の婚約のことがなければ、私はすぐにでも婚約の解消をしたいくらいですし、気持ちは同じですけど。
今回は、国王陛下と王妃殿下にも責任をとって退位していただく予定ですから、まどろっこしいですわね。
「今回は謝罪を受け入れて融資は続けるが、今度あの愚か者が何か問題を起こしたら、手を引かせてもらう」
「そっ、そんな・・・今カリスタ伯爵家からの融資がなくなれば、我が領地は・・・」
「なら、息子をちゃんと管理すればいいだろう?問題さえ起こさなければ融資は続けてやる」
さすがにブレンディ侯爵家の領民を見捨てるのは後味が悪いですが、侯爵様たちには爵位を返上して王家の管轄領にしてもらうしかありません。
え?弟さんですか?
どこかのお馬鹿さんと違って、努力家で優秀だと噂ですし、ちょうど後継のいなくなる家がありますから、養子に迎える案がありますのよ。
何故、当人のイーサン様がいらっしゃらないのかしら。
いえ、別に会いたくはありませんけど。
どうせ会っても反省するどころか、私を罵りそうですし。
さすがに私の両親と、ご自身のご家族の前ではそこまではなさらないかしら?
「父上!」
「・・・も、申し訳ございませんでした」
「息子に促されなければ出来ない謝罪など、なんの意味もないな」
お父様、本当のことを言ってはいけませんわ。
馬鹿・・・阿呆・・・愚か・・・ええと、わ、悪い方ではないのでしょうけど、貴族当主としては能力不足ですわね。
イーサン様のあの馬鹿な行動を監視もせず、国王陛下の手のひらの上で転がされ、ブレンディ侯爵家の未来に暗雲をもたらしたのは、間違いなく現侯爵様ですわ。
さっさとイーサン様を再教育なさるか、私との婚約を解消してイーサン様を廃籍なさるかすれば、良かったんですわ。
「国王陛下相手に逆らえないのは仕方ないと思うが、息子の監視すら出来ないようではな。言っておくが、あんな愚か者を我が家で面倒を見るつもりはないぞ。爵位が継げないとはいえ、あまりに酷すぎだ」
「そ、それは・・・」
「そもそも、ブレンディ侯爵家の融資のための婚約なのに、何故あんな愚者を引き受けねばならんのだ?ヤツは最初から我が娘を見下していたぞ?すぐには婚約の解消はできんからな、様子を見ていたが悪化する一方だ」
「・・・いや、あの・・・」
お父様。もうこの際だからと、言いたいことを全ておっしゃってますわね。
まぁ、ドロシー王女殿下とアルバート様の婚約のことがなければ、私はすぐにでも婚約の解消をしたいくらいですし、気持ちは同じですけど。
今回は、国王陛下と王妃殿下にも責任をとって退位していただく予定ですから、まどろっこしいですわね。
「今回は謝罪を受け入れて融資は続けるが、今度あの愚か者が何か問題を起こしたら、手を引かせてもらう」
「そっ、そんな・・・今カリスタ伯爵家からの融資がなくなれば、我が領地は・・・」
「なら、息子をちゃんと管理すればいいだろう?問題さえ起こさなければ融資は続けてやる」
さすがにブレンディ侯爵家の領民を見捨てるのは後味が悪いですが、侯爵様たちには爵位を返上して王家の管轄領にしてもらうしかありません。
え?弟さんですか?
どこかのお馬鹿さんと違って、努力家で優秀だと噂ですし、ちょうど後継のいなくなる家がありますから、養子に迎える案がありますのよ。
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