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第32.5話〜ブレンディ侯爵令息視点〜
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「この・・・ッ!馬鹿者が!」
家に帰った俺を迎えたのは、顔を真っ赤にした父上だった。
ブレンディ侯爵家の当主である父が、これほどまでに激昂しているのを見たことがない。
「ち、父上・・・」
「イーサンっ!私は常々言っていたな?婚約者であるカリスタ伯爵家のご令嬢とちゃんと交流しろと。お前のしているという言葉を信じた。お前が王女殿下と常にいることも王家から陛下公認の上だから問題ないと言われたこともあり何も言わなかった。だがっ!最近お前が一緒にいる黒髪の令嬢は誰だっ!王女殿下でも婚約者でもない令嬢と、仲睦まじく毎日一緒にいるというのはどういうことだっ!」
父上の激昂に、俺の頭には銀髪の、小柄な女の顔が浮かんだ。
カリスタ伯爵令嬢、エリザベス。
二年前に俺の婚約者となり、俺をブレンディ侯爵家の後継の座から引きずり下ろした最低な女。
婚約を結んだ当初、ブレンディ侯爵家は父上の事業の失敗で資金援助先を探していた、らしい。
そこに付け込んで来たのが、カリスタ伯爵家だ。
金に物を言わせて俺の婚約者に無理やりなった伯爵令嬢。
だから父上には言われていたが、交流は全くしなかった。
なんの苦情もなかった。
それこそ学園に入学してからも。
だから、今回も何も言ってこないと思ったのに!
ドロシー王女殿下は、とてもお美しい。
輝く豊かな金髪に、青い瞳をされた宝石のようなお方だ。
侯爵家の後継への梯子を外された俺は、王族の護衛騎士になるべく騎士を目指した。
そして、ドロシー王女殿下の近衛騎士という座を射止めた。
ドロシー様は俺を常に側に置いたし、王家も俺にそうあるように言っていたから、カリスタ伯爵家から文句が出るわけがなかった。
俺は、ドロシー王女殿下に臣下以上の気持ちを抱いてはいない。
ドロシー王女殿下はお美しい方だとは思うが、俺は可愛らしい容姿の相手が好みなんだ。
だから・・・まぁ、婚約者のことは多少は、好ましいと思っている。
あ、あくまでも容姿だけだ!
あんなふうに言い返してくるような、生意気な女など却下だ!却下!
やはり、女は可愛げのある方が好ましい。
真っ直ぐな黒髪に、黒曜石のような瞳。
俺を見上げる小柄で華奢な体躯。
その鈴を転がすような可憐な声も、折れそうな細い手も、全てが俺の好みだった。
セイラ・フォールス男爵令嬢。
愛しい彼女が、ある人に「たかが男爵令嬢風情が」と言われたと泣きながら俺に訴えた。
そんなことを言うとすれば、あのカリスタ伯爵令嬢に違いない。
そうに違いないと思ったから、あの女を怒鳴りつけに行ったのに。
家に帰った俺を迎えたのは、顔を真っ赤にした父上だった。
ブレンディ侯爵家の当主である父が、これほどまでに激昂しているのを見たことがない。
「ち、父上・・・」
「イーサンっ!私は常々言っていたな?婚約者であるカリスタ伯爵家のご令嬢とちゃんと交流しろと。お前のしているという言葉を信じた。お前が王女殿下と常にいることも王家から陛下公認の上だから問題ないと言われたこともあり何も言わなかった。だがっ!最近お前が一緒にいる黒髪の令嬢は誰だっ!王女殿下でも婚約者でもない令嬢と、仲睦まじく毎日一緒にいるというのはどういうことだっ!」
父上の激昂に、俺の頭には銀髪の、小柄な女の顔が浮かんだ。
カリスタ伯爵令嬢、エリザベス。
二年前に俺の婚約者となり、俺をブレンディ侯爵家の後継の座から引きずり下ろした最低な女。
婚約を結んだ当初、ブレンディ侯爵家は父上の事業の失敗で資金援助先を探していた、らしい。
そこに付け込んで来たのが、カリスタ伯爵家だ。
金に物を言わせて俺の婚約者に無理やりなった伯爵令嬢。
だから父上には言われていたが、交流は全くしなかった。
なんの苦情もなかった。
それこそ学園に入学してからも。
だから、今回も何も言ってこないと思ったのに!
ドロシー王女殿下は、とてもお美しい。
輝く豊かな金髪に、青い瞳をされた宝石のようなお方だ。
侯爵家の後継への梯子を外された俺は、王族の護衛騎士になるべく騎士を目指した。
そして、ドロシー王女殿下の近衛騎士という座を射止めた。
ドロシー様は俺を常に側に置いたし、王家も俺にそうあるように言っていたから、カリスタ伯爵家から文句が出るわけがなかった。
俺は、ドロシー王女殿下に臣下以上の気持ちを抱いてはいない。
ドロシー王女殿下はお美しい方だとは思うが、俺は可愛らしい容姿の相手が好みなんだ。
だから・・・まぁ、婚約者のことは多少は、好ましいと思っている。
あ、あくまでも容姿だけだ!
あんなふうに言い返してくるような、生意気な女など却下だ!却下!
やはり、女は可愛げのある方が好ましい。
真っ直ぐな黒髪に、黒曜石のような瞳。
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その鈴を転がすような可憐な声も、折れそうな細い手も、全てが俺の好みだった。
セイラ・フォールス男爵令嬢。
愛しい彼女が、ある人に「たかが男爵令嬢風情が」と言われたと泣きながら俺に訴えた。
そんなことを言うとすれば、あのカリスタ伯爵令嬢に違いない。
そうに違いないと思ったから、あの女を怒鳴りつけに行ったのに。
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