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15歳

103ページ:もう少し、あと少し

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「お父様、お母様、ただいま戻りました」

 ノワールとともに、お父様たちの元へと転移した。
 いくらなんでも、諸々の報告もせずにノワールと精霊の国で暮らすわけにはいかない。

 それに、お母様はウエディングドレスの準備をしてくれるとか言ってた。

 さすがに相手が精霊王だから、貴族を集めて結婚式をするわけにもいかないだろうけど、お父様とお母様には花嫁姿を見せたい。

 それに、できるならもう少しお父様たちと暮らしたい。
 私が転生してまだ10年だ。
せめてあと5年。いや、2年でもいい。

「お帰りなさい、シエルちゃん」

「お帰り、シエル」

 お父様とお母様に抱きしめられる。
お父様たちは、私の後ろに佇むノワールに頭を下げた。

「精霊王様もご無事で何よりです」

『事態が事態とはいえ、ご両親の許可もなくシエル様と夫婦になったこと、心よりお詫びします』

「え、ああ」

『ですが、シエル様は私の唯一です。この先、私が他の妻を娶ることはありません。ご両親がシエル様を愛し慈しんでいることは理解しています。ですがどうか、私との結婚をお許し願いたい』

 ノワールが、頭を下げてくれてる。
精霊王で、人に頭を下げる必要なんてない存在なのに、私との結婚を許して欲しいって言ってくれてる。

 お父様もお母様も、私の決めたことならって許してくれてるけど。
 もう婚姻の指輪ははめてしまっているけど。

 でも。やっぱり、嬉しい。
私の大切に思っている人のことを、ちゃんと考えてくれているんだって理解るから。

「我々は、シエルが決めたことをどうこう言うつもりはありません。元々、相手が誰であろうと、シエルが望んだ相手との結婚を認めるつもりだったのですから」

「シエルちゃんが選んだお相手が、シエルちゃんを愛してくださるなら、それでわたくしたちは十分なのです」

 お父様とお母様が、柔らかな笑顔を浮かべて、肯定してくれる。

 その顔を見て、ノワールがホッと息を吐いた。

「ノワール?」

『お前には絶対やらないと言われたら、どうしようかと』

「私が拒否したなら言うでしょうけど、うちのお父様もお母様も、私が決めたことを反対したりしませんよ?」

 ずっとそうやって、我儘を通させてもらってきた。

『そうかもしれませんが、緊張してしまって・・・』

 そう苦笑するノワール。
そういえば、精霊王にはご両親いるのかしら?

 私も、人間なんかダメだって言われるかもと思ったら、うん、確かに緊張するわ。

「ノワールのご家族は?」

『我々が王を継ぐときは、前王が身罷ってからなので、両親はすでにいません。精霊は子供は1人しか生まれませんから、兄弟もいません』

 え?そうなんだ。
ということは、私も1人しか産めないということなのかな?








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