悪役令嬢?寝言は寝て言え〜全員揃って一昨日来やがれ〜

みおな

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誰に喧嘩売ってんのかなぁ?

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 今日は、花屋の隣にある小物を扱う店に用があった私。

 たまたま花屋の前を横切る時にジェラートに気付き、相手も気付いたから話をしたわけだけど・・・

 だからって、何故に私がヒロインに睨まれなければならないわけ?

 ・・・ま。いいか。
無関係な相手だし。

 そう思ってヒロインのいる花屋を通り過ぎようとした私に、ヒロインの呟きが聞こえた。

のくせに」

 今このヒロイン、私のことを悪役令嬢って言った?

 ってことは、これまた転生者ってこと?

 はっきり言って、転生ヒロインほど面倒なものはない。

 八割のラノベでは、転生悪役令嬢は断罪を避けるためにラノベとは違う行動をして婚約者との縁を深めるか、もしくは婚約者以外の令息と恋仲になる。

 そして転生ヒロインは・・・
物語通りの行動をしない悪役令嬢にイラつき、悪役令嬢を敵視する。

 私は物語とは違う結末のために、前世の推しのイアンと婚約した。

 つまりはジェラートとは無縁なわけだけど、ヒロインとしては私を悪役にしないと物語が自分に有利に進まないと思う可能性が高い。

「やっぱりのね。ふふん。家格しか価値がないアレーシアだもんね」

「貴女、今フロライン公爵家のご令嬢の名前を呼び捨てにしましたか?」

 ボソリと呟いたヒロインの声を、私に日傘をさしていたレーナが聞き咎めた。

 あー。
ラノベの中でもアレーシアのことを「アレーシア様」と名前で呼んでいたヒロイン。

 公爵令嬢を勝手に名前で呼ぶ男爵令嬢って時点で大問題なんだけど、転生ヒロインなら呼び捨てもあり得るわよね。

 理解ってないんだろうね。
その身分の差が、どれだけ大きいものなのか。

 ラノベの中では、王太子のジェラートがヒロインの味方だったからどうにかなったけど、この時点でその発言がヤバいことが分からないんだよね、転生ヒロインって。

「・・・は?」

「ですから今、フロライン公爵令嬢様の名を口に出しませんでしたか?」

 アレーシアの専属侍女のレーナは、伯爵家の三女。

 身分はヒロインよりも上だ。

「なんなの?聞き間違いでしょ!私は何も言ってないわよ」

「レーナ。かまわなくていいわ。ついて来て」

「・・・分かりました、お嬢様」

「ちょっと!謝りなさいよ!」

 せっかくレーナを止めてあげたのに、ヒロインが文句を言ってくる。

 馬鹿なの?
転生ヒロインって、どうしてこんなに馬鹿ばっかりなの?

 貴女が喧嘩売ってる相手は、王家に次ぐ権力を持つ筆頭公爵家のご令嬢なんだけど?

 
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