恋とはどんなものかしら

みおな

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断罪の時

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 キラキラと輝くシャンデリアの下、色とりどりのドレスが煌く。

 今日は、王宮主催のダンスパーティーだ。交流を深めるという理由で、学園の生徒が招かれている。

 その、主催者たる王族が現れる前ー

 怒声と悲鳴、何かが割れる音が会場に響いた。

 「ルティシア・ルーベンス!君がジュリア・チェルシーに対し、卑劣な行いをしてきたこと、明白だ!!よって、君との婚約をここで解消させてもらう!!」

 「クロード様ぁ🤍私、怖かったですぅ」

 ジュリアが、クロードの腕にしがみつくように抱きついているのを、私は黙って見ていた。

 ルティシアは、エンハルトに押さえつけられるように床に膝をついている。

 助けに行きたい。エンハルトを蹴り飛ばしてやりたい。だけど、今は・・・

 「私が何をしたと言うのですか」

 「お前は、ジュリアにクロードを奪われることを恐れ、ジュリアの私物を破損、誹謗中傷し、挙句、階段から突き落とそうとしたそうではないか。そうなのだろう?ジュリア」

 レインハルト様が、ジュリアの横に並ぶ。

 「はい🤍そうですぅ」

 ジュリアが、潤んだ瞳でレインハルト様を見上げているのを、クラウス兄弟とエンハルトが、うっとりと見つめている。

 「私は、何もしておりません」

 「黙れ!!」

 「っ!!」

 エンハルトが、ルティシアの髪を掴み上げる。

 あ。もう勘弁できない。

 私は、その場に姿を現すとー

 氷魔法を使い、エンハルトを弾き飛ばした。

 「!?」

 突然の私の出現に、ジュリア達は驚きを隠せない。

 「ルティシア。大丈夫?」

 掴まれて乱れた髪を、そっと撫でてやる。

 弾き飛ばされたエンハルトと、クラウス兄弟が、警戒した顔で、私を見ている。

 「貴様!」

 「公爵令嬢たるルティシアに、伯爵家令息が何をなさっているのですか?」

 私は、エンハルトを睨み付ける。
 そう。私は怒っていた。元凶たるジュリアはもちろんのこと、『魅了』に操られ、ルティシアに暴力を振るう彼らのことを。

 「身分を振りかざして、そうやってジュリアを苛めていたんだろう!!」

 「そうです!どうして、そんな酷いこと言うんですかぁ?レインハルト様ぁ、何か言ってやって下さい~」

 ジュリアが、そう言って、レインハルトの腕に縋ろうとする。

 「そうだな。ルティシア嬢に非などないだろう。そうですよね、父上、兄上」

 「!?」

 突然の呼びかけに、ジュリア達が振り返ると、会場の上座に数名の人物が現れていた。

 現れたのは、この国の国王陛下、騎士団団長、筆頭宮廷魔道士、そして、王太子殿下シオン様だった。

 シオン様の姿を認めると、ジュリアが黄色い声を上げる。

 「シオン🤍きてくれたのね🤍私は大丈夫よ。みんなが守ってくれたし」

 「・・・」

 「早く、その姉妹を断罪して、私のところにきて🤍」

 「・・・」

 シオン様の前まで近寄り、胸の前で指を組み、瞳を潤ませ、シオン様を見上げている。
 その姿は、何も知らない者が見れば、愛らしく見えるだろう。
 だが、その瞳の中は揺らめき、『魅了』の術が発動している。

 「黒き秘密箱」

 シオン様の言葉で、闇がジュリア、エンハルト達を拘束していく。

 「な、な、何するの?シオン」

 「ジュリア・チェルシーと言ったか。僕は君などに名前を呼ぶ権利を与えたおぼえはない!」

 「え?何言ってるの?だって、シオンは私のこと好きなはず」

 「僕は、レティシアだけのものだ。彼女以外愛することはない!」

 「う、嘘よ。どうして・・・私がヒロインなのに・・・」

 ジュリアが、ぶつぶつと、呟いている。

 闇の拘束で、身動き取れない息子達の前へ、オーウェン侯爵が足を進める。

 「ち、父上」

 「父などと、呼ばないでもらおうか。宮廷魔道士の血流でありながら、魅了の術にかかり、このような騒ぎを起こす息子など、我が家にはおらん。お前達は、廃嫡する」

 「そ、そんな・・・悪いのは、あの姉妹ではないですか!!」

 一方、エンハルトの前にも、父親であるフェリス伯爵が立つ。

 「か弱き令嬢に、手をあげるような者など、騎士の風上にもおけない。お前も廃嫡されることを覚悟しろ」

 「か弱きなど!あの女は、ジュリアを苛めていたのです!殿下やクロードに聞いてみて下さい!」

 それぞれが、抵抗するのを聞いて、国王陛下が口を開く。

 「彼らはああ言っているが、レインハルト、答えよ」

 「ジュリアの言っていることは、事実無根です。彼女は、王族である僕にも魅了の術をかけようとした重罪人です」

 「!!!」

 ジュリアが目を見開いて、驚愕している。

 そうー

 これが、シオン様達の作戦だった。

 レインハルト様もクロードも、彼女の術にかかった『ふり』をして、ルティシアに冷たくあたっていただけだ。

 彼女達に油断させ、罪を確定させるのが目的だった。
 そのために、ダンスパーティーなどを、わざわざ『作った』のだ。

 全ては、ジュリアを断罪するためー
その為の舞台なのだ。
 
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