7 / 56
学園に入学しました
しおりを挟む
タンザナイト王国の貴族は、大なり小なり魔力を持っている。
その魔力を、キチンと使えるように、13歳になると魔法学園に通うのだ。
乙女ゲーム『金と銀のレガリア』の舞台。
そして、私とルティシアは、今日、学園に入学した。
学園には、5人の攻略対象がいる。
まずはレインハルト王子。ラヴェル公爵家次男のクロード・ラヴェル。タンザナイト王国騎士団団長の嫡男の、エンハルト・フェリス。宮廷魔術士の嫡男クラウス・オーウェン。クラウスの双子の弟のクラウド・オーウェン。
ヒロインが、どのルートを選んでも、『レティシア』は悪役令嬢として、ヒロインを迫害する。
レインハルト王子は、ヒロインであるルティシアが、他の攻略対象ルートに入っても、ずっとルティシアを想い続け、そのルティシアを害しようとするレティシアを断罪するのだ。
ゲーム内では、あんなにまともだったのに・・・
私は、しつこく話しかけてくるレインハルト王子にうんざりしていた。
「レティシア、週末に街へと出かけないか」
「殿下。呼び捨てはおやめください。それと、婚約者でもない女性に触れたりするものではありません」
レインハルト王子が肩に触れようとするのを、サッと避けながら、私は立ち上がった。
ルティシアが、ちょっと席を外している隙に、王子はしつこくちょっかい出してくる。
「それじゃあ、父上に言って、すぐにでも婚約を・・・」
しつこい。
「陛下でなく、うちのお父様に直接申し出る勇気のない方に、私の大切なお姉さまは渡せません!」
あ。ルティシアが戻ってきた。そして、辛辣。
お父様に、直接かぁ。それは随分ハードルが高い。うちのお父様、魔王だからね。
ルティシアの言葉に、さすがにレインハルト王子も、いや、それは、とぶつぶつ言っている。
「レティシア、ちょっといいか?」
ルティシアと一緒に、私のところに寄って来ていた、クロードの言葉に、レインハルト王子が、キッと顔を向ける。
「こいつも、呼び捨てているじゃないかっ!!」
はぁぁ。
仮にも、王子が、公爵家子息をこいつ呼ばわり。どんだけ、残念な人なの。
「クロード様は、私とお姉さまの幼なじみですっ!」
ルティシアが王子を突き飛ばさん勢いだ。突き飛ばしたら、ダメだよ、ルティシア。そんなんでも、王子だからね。
もう、どっか行ってくれないかな。休み時間度にこの、騒動。こんなの、3年も続いたら、胃に穴が開くわ。
クロードは、王子を威嚇している、ルティシアの背中をポンポンと叩きながら、私へと視線を向けて、教室の外へ、と指差した。
クロード・ラヴェル。
濃紺の髪に、水色の瞳。公爵家次男の彼は、ルティシアの言った通り、私たちの幼なじみだ。
子供の頃は、シオン殿下と婚約結婚できるなんて考えもしなかったから、クロードと結婚することもアリかなぁと、思っていた。
クロードは次男だから、ルーベンス家を継いでもらうことも出来るしって。
あー。そうだ。私、王太子に嫁いだんだ。じゃあ、ルティシアにルーベンス家を継いで貰わなきゃなんだ。
お母様、今から弟産まないかしら。
そんなことを考えながら、クロードと教室の外へ出ると、クロードが、ははっと笑いをもらす。
「王子に手を焼いてるな」
「なぁに。揶揄うために呼び出したわけ?」
気安く言い返すと、まさか、と返された。
「理事長室へ行け」
「は?なにそれ」
なんでいきなり理事長室へ行かなきゃならないの?
「レティシア。おめでとう」
「?」
耳元に口を寄せ、周りに聞こえないように、クロードがそう言ってくる。
おめでとう?なにが?
キョトンとした顔をすると、仕方ないなって表情で、クロードはボソッと言った。
「シオン殿下」
「!!」
なんで?なんで知ってるのー?
驚愕で、口をパクパクしている私の肩を叩くと、クロードは教室に戻りながら、繰り返した。
「さっさと理事長室だ」
その魔力を、キチンと使えるように、13歳になると魔法学園に通うのだ。
乙女ゲーム『金と銀のレガリア』の舞台。
そして、私とルティシアは、今日、学園に入学した。
学園には、5人の攻略対象がいる。
まずはレインハルト王子。ラヴェル公爵家次男のクロード・ラヴェル。タンザナイト王国騎士団団長の嫡男の、エンハルト・フェリス。宮廷魔術士の嫡男クラウス・オーウェン。クラウスの双子の弟のクラウド・オーウェン。
ヒロインが、どのルートを選んでも、『レティシア』は悪役令嬢として、ヒロインを迫害する。
レインハルト王子は、ヒロインであるルティシアが、他の攻略対象ルートに入っても、ずっとルティシアを想い続け、そのルティシアを害しようとするレティシアを断罪するのだ。
ゲーム内では、あんなにまともだったのに・・・
私は、しつこく話しかけてくるレインハルト王子にうんざりしていた。
「レティシア、週末に街へと出かけないか」
「殿下。呼び捨てはおやめください。それと、婚約者でもない女性に触れたりするものではありません」
レインハルト王子が肩に触れようとするのを、サッと避けながら、私は立ち上がった。
ルティシアが、ちょっと席を外している隙に、王子はしつこくちょっかい出してくる。
「それじゃあ、父上に言って、すぐにでも婚約を・・・」
しつこい。
「陛下でなく、うちのお父様に直接申し出る勇気のない方に、私の大切なお姉さまは渡せません!」
あ。ルティシアが戻ってきた。そして、辛辣。
お父様に、直接かぁ。それは随分ハードルが高い。うちのお父様、魔王だからね。
ルティシアの言葉に、さすがにレインハルト王子も、いや、それは、とぶつぶつ言っている。
「レティシア、ちょっといいか?」
ルティシアと一緒に、私のところに寄って来ていた、クロードの言葉に、レインハルト王子が、キッと顔を向ける。
「こいつも、呼び捨てているじゃないかっ!!」
はぁぁ。
仮にも、王子が、公爵家子息をこいつ呼ばわり。どんだけ、残念な人なの。
「クロード様は、私とお姉さまの幼なじみですっ!」
ルティシアが王子を突き飛ばさん勢いだ。突き飛ばしたら、ダメだよ、ルティシア。そんなんでも、王子だからね。
もう、どっか行ってくれないかな。休み時間度にこの、騒動。こんなの、3年も続いたら、胃に穴が開くわ。
クロードは、王子を威嚇している、ルティシアの背中をポンポンと叩きながら、私へと視線を向けて、教室の外へ、と指差した。
クロード・ラヴェル。
濃紺の髪に、水色の瞳。公爵家次男の彼は、ルティシアの言った通り、私たちの幼なじみだ。
子供の頃は、シオン殿下と婚約結婚できるなんて考えもしなかったから、クロードと結婚することもアリかなぁと、思っていた。
クロードは次男だから、ルーベンス家を継いでもらうことも出来るしって。
あー。そうだ。私、王太子に嫁いだんだ。じゃあ、ルティシアにルーベンス家を継いで貰わなきゃなんだ。
お母様、今から弟産まないかしら。
そんなことを考えながら、クロードと教室の外へ出ると、クロードが、ははっと笑いをもらす。
「王子に手を焼いてるな」
「なぁに。揶揄うために呼び出したわけ?」
気安く言い返すと、まさか、と返された。
「理事長室へ行け」
「は?なにそれ」
なんでいきなり理事長室へ行かなきゃならないの?
「レティシア。おめでとう」
「?」
耳元に口を寄せ、周りに聞こえないように、クロードがそう言ってくる。
おめでとう?なにが?
キョトンとした顔をすると、仕方ないなって表情で、クロードはボソッと言った。
「シオン殿下」
「!!」
なんで?なんで知ってるのー?
驚愕で、口をパクパクしている私の肩を叩くと、クロードは教室に戻りながら、繰り返した。
「さっさと理事長室だ」
30
お気に入りに追加
589
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
2度目の人生は好きにやらせていただきます
みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。
そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。
今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
怒れるおせっかい奥様
asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。
可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。
日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。
そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。
コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。
そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。
それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。
父も一緒になって虐げてくるクズ。
そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。
相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。
子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない!
あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。
そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。
白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。
良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。
前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね?
ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。
どうして転生したのが私だったのかしら?
でもそんなこと言ってる場合じゃないわ!
あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ!
子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。
私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ!
無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ!
前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる!
無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。
他の人たちのざまあはアリ。
ユルユル設定です。
ご了承下さい。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
あなたの事は記憶に御座いません
cyaru
恋愛
この婚約に意味ってあるんだろうか。
ロペ公爵家のグラシアナはいつも考えていた。
婚約者の王太子クリスティアンは幼馴染のオルタ侯爵家の令嬢イメルダを側に侍らせどちらが婚約者なのかよく判らない状況。
そんなある日、グラシアナはイメルダのちょっとした悪戯で負傷してしまう。
グラシアナは「このチャンス!貰った!」と・・・記憶喪失を装い逃げ切りを図る事にした。
のだが…王太子クリスティアンの様子がおかしい。
目覚め、記憶がないグラシアナに「こうなったのも全て私の責任だ。君の生涯、どんな時も私が隣で君を支え、いかなる声にも盾になると誓う」なんて言い出す。
そりゃ、元をただせば貴方がちゃんとしないからですけどね??
記憶喪失を貫き、距離を取って逃げ切りを図ろうとするのだが何故かクリスティアンが今までに見せた事のない態度で纏わりついてくるのだった・・・。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★ニャンの日present♡ 5月18日投稿開始、完結は5月22日22時22分
★今回久しぶりの5日間という長丁場の為、ご理解お願いします(なんの?)
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
転生先は魔王の妹?〜蕩けるほど愛される〜
みおな
恋愛
私は公爵令嬢の娘として生まれ、10歳の時、王太子殿下の婚約者になった。
だけど、王太子殿下は私のことがお嫌いのようで、顔を合わせれば睨まれ、怒鳴られる毎日。
そんな関係に疲れ果て、私から笑顔が消えた頃、王太子殿下には好きな女性ができたようだった。
所詮は、政略結婚の相手。
相手の気持ちなど求めないと決めて、王太子殿下の浮気も放置していたのに、彼は私に婚約破棄を言い渡した挙句、私の首を刎ねさせた。
そして、目覚めた時ー
私は見知らぬ城にいた。そして傍には、黒髪黒目の・・・魔王と呼ばれる男がいたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる