恋とはどんなものかしら

みおな

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学園に入学しました

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 タンザナイト王国の貴族は、大なり小なり魔力を持っている。
 その魔力を、キチンと使えるように、13歳になると魔法学園に通うのだ。

 乙女ゲーム『金と銀のレガリア』の舞台。
 そして、私とルティシアは、今日、学園に入学した。

 学園には、5人の攻略対象がいる。
まずはレインハルト王子。ラヴェル公爵家次男のクロード・ラヴェル。タンザナイト王国騎士団団長の嫡男の、エンハルト・フェリス。宮廷魔術士の嫡男クラウス・オーウェン。クラウスの双子の弟のクラウド・オーウェン。

 ヒロインが、どのルートを選んでも、『レティシア』は悪役令嬢として、ヒロインを迫害する。
 レインハルト王子は、ヒロインであるルティシアが、他の攻略対象ルートに入っても、ずっとルティシアを想い続け、そのルティシアを害しようとするレティシアを断罪するのだ。

 ゲーム内では、あんなにまともだったのに・・・

 私は、しつこく話しかけてくるレインハルト王子にうんざりしていた。

 「レティシア、週末に街へと出かけないか」

 「殿下。呼び捨てはおやめください。それと、婚約者でもない女性に触れたりするものではありません」

 レインハルト王子が肩に触れようとするのを、サッと避けながら、私は立ち上がった。
 ルティシアが、ちょっと席を外している隙に、王子はしつこくちょっかい出してくる。

 「それじゃあ、父上に言って、すぐにでも婚約を・・・」

 しつこい。

 「陛下でなく、うちのお父様に直接申し出る勇気のない方に、私の大切なお姉さまは渡せません!」

 あ。ルティシアが戻ってきた。そして、辛辣。
 お父様に、直接かぁ。それは随分ハードルが高い。うちのお父様、魔王だからね。

 ルティシアの言葉に、さすがにレインハルト王子も、いや、それは、とぶつぶつ言っている。

 「レティシア、ちょっといいか?」

 ルティシアと一緒に、私のところに寄って来ていた、クロードの言葉に、レインハルト王子が、キッと顔を向ける。

 「こいつも、呼び捨てているじゃないかっ!!」

 はぁぁ。

 仮にも、王子が、公爵家子息をこいつ呼ばわり。どんだけ、残念な人なの。

 「クロード様は、私とお姉さまの幼なじみですっ!」

 ルティシアが王子を突き飛ばさん勢いだ。突き飛ばしたら、ダメだよ、ルティシア。そんなんでも、王子だからね。

 もう、どっか行ってくれないかな。休み時間度にこの、騒動。こんなの、3年も続いたら、胃に穴が開くわ。

 クロードは、王子を威嚇している、ルティシアの背中をポンポンと叩きながら、私へと視線を向けて、教室の外へ、と指差した。

 クロード・ラヴェル。
濃紺の髪に、水色の瞳。公爵家次男の彼は、ルティシアの言った通り、私たちの幼なじみだ。

 子供の頃は、シオン殿下と婚約結婚できるなんて考えもしなかったから、クロードと結婚することもアリかなぁと、思っていた。

 クロードは次男だから、ルーベンス家を継いでもらうことも出来るしって。

 あー。そうだ。私、王太子に嫁いだんだ。じゃあ、ルティシアにルーベンス家を継いで貰わなきゃなんだ。
 お母様、今から弟産まないかしら。

 そんなことを考えながら、クロードと教室の外へ出ると、クロードが、ははっと笑いをもらす。

 「王子に手を焼いてるな」

 「なぁに。揶揄うために呼び出したわけ?」

 気安く言い返すと、まさか、と返された。

 「理事長室へ行け」

 「は?なにそれ」

 なんでいきなり理事長室へ行かなきゃならないの?

 「レティシア。おめでとう」

 「?」

 耳元に口を寄せ、周りに聞こえないように、クロードがそう言ってくる。
 おめでとう?なにが?

 キョトンとした顔をすると、仕方ないなって表情で、クロードはボソッと言った。

 「シオン殿下」

 「!!」

 なんで?なんで知ってるのー?

 驚愕で、口をパクパクしている私の肩を叩くと、クロードは教室に戻りながら、繰り返した。

 「さっさと理事長室だ」
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