51 / 64
皆様、予想されているはず
しおりを挟む
力で押さえつけられれば、女の私では男の方に敵いません。
ですが、お兄様がその程度のことを予想していないわけがありませんから、何か言っても計画は変わらないでしょうね。
ユリウス様は、私が不貞をしたなどとおっしゃられないでしょうし、きっとお守りくださるはず。
仕方ありませんわ。
他のご令嬢が毒牙にかかってもいけませんし、今回きっちりと片付けさせていただきましょう。
「ユリウス様とご一緒していたら、声をかけてこないのではありませんか?」
「いや、ああいう輩は悪知恵だけは働くんだ。例えば、父上だったり、僕だったりが呼んでいるとかだな。まぁ、ミリムは人一倍警戒心が強いから、一人で付いて行ったりはしないんだが」
「今回はついて行きましょうか?」
お兄様ってば、失礼ですわね。
未婚の令嬢が、一人で殿方に付いて行って何かあったらと警戒するのは当然でしょう?
付いて来た方も悪いと言われますのよ。
男性は経験があっても何も言われないのに、女性には純潔であることを望む社会ですもの。
警戒するのは当然ですわ。
「いや。いつも通りでかまわない。もしかしたら薬を盛るかもしれない。ユリウス、目を離すなよ」
「大事な妻をこんなことに巻き込んでもらいたくないが、仕方ない」
薬ですか。
我が国では、媚薬の類も違法なのですけど、どれだけ罪を重ねるおつもりかしら。
「ラナリス様も、警戒しておいて欲しい。デルモンドは馬鹿だが、いや馬鹿だからこそ、小悪党にいい様に手のひらで転がされるからな」
「分かっていますわ。今回は王宮でのパーティーですけれど、影を付けておきますから」
王家の方には、影と呼ばれる暗部の護衛の方々がいらっしゃいます。
王宮以外でのパーティーやお茶会には、必ず付いて行かれるという話です。
お会いしたことはありませんわ。
影の方のお顔を知っているのは、国王陛下に王妃殿下、ラナリス様。そしてラナリス様の婚約者となった時点で影が付くことになったお兄様だけです。
臣下の我々は、影の存在すら知らないのが普通です。
私は今回の件で、初めてそういう存在がいることを教えていただきましたの。
今日この会場にいる方々で、ジャグリング公爵家であったことをご存知の方は一割程度。
もちろん、そういう話は皆様お茶会などで広めて行きますから、知識として知っている方は半分くらいかしら。
デルモンド様のしたことを知らなくても、ダリー伯爵家の悪い噂は皆様ご存知です。
国王陛下が「ダリー伯爵家の人間には、パーティーの内容も何も話さないように」と通達を出された時点で、きっと何かが起こることを想像されているでしょうね。
ですが、お兄様がその程度のことを予想していないわけがありませんから、何か言っても計画は変わらないでしょうね。
ユリウス様は、私が不貞をしたなどとおっしゃられないでしょうし、きっとお守りくださるはず。
仕方ありませんわ。
他のご令嬢が毒牙にかかってもいけませんし、今回きっちりと片付けさせていただきましょう。
「ユリウス様とご一緒していたら、声をかけてこないのではありませんか?」
「いや、ああいう輩は悪知恵だけは働くんだ。例えば、父上だったり、僕だったりが呼んでいるとかだな。まぁ、ミリムは人一倍警戒心が強いから、一人で付いて行ったりはしないんだが」
「今回はついて行きましょうか?」
お兄様ってば、失礼ですわね。
未婚の令嬢が、一人で殿方に付いて行って何かあったらと警戒するのは当然でしょう?
付いて来た方も悪いと言われますのよ。
男性は経験があっても何も言われないのに、女性には純潔であることを望む社会ですもの。
警戒するのは当然ですわ。
「いや。いつも通りでかまわない。もしかしたら薬を盛るかもしれない。ユリウス、目を離すなよ」
「大事な妻をこんなことに巻き込んでもらいたくないが、仕方ない」
薬ですか。
我が国では、媚薬の類も違法なのですけど、どれだけ罪を重ねるおつもりかしら。
「ラナリス様も、警戒しておいて欲しい。デルモンドは馬鹿だが、いや馬鹿だからこそ、小悪党にいい様に手のひらで転がされるからな」
「分かっていますわ。今回は王宮でのパーティーですけれど、影を付けておきますから」
王家の方には、影と呼ばれる暗部の護衛の方々がいらっしゃいます。
王宮以外でのパーティーやお茶会には、必ず付いて行かれるという話です。
お会いしたことはありませんわ。
影の方のお顔を知っているのは、国王陛下に王妃殿下、ラナリス様。そしてラナリス様の婚約者となった時点で影が付くことになったお兄様だけです。
臣下の我々は、影の存在すら知らないのが普通です。
私は今回の件で、初めてそういう存在がいることを教えていただきましたの。
今日この会場にいる方々で、ジャグリング公爵家であったことをご存知の方は一割程度。
もちろん、そういう話は皆様お茶会などで広めて行きますから、知識として知っている方は半分くらいかしら。
デルモンド様のしたことを知らなくても、ダリー伯爵家の悪い噂は皆様ご存知です。
国王陛下が「ダリー伯爵家の人間には、パーティーの内容も何も話さないように」と通達を出された時点で、きっと何かが起こることを想像されているでしょうね。
91
お気に入りに追加
1,037
あなたにおすすめの小説
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!
風見ゆうみ
恋愛
「1番愛しているのは君だ。だから、今から何が起こっても僕を信じて、僕が迎えに行くのを待っていてくれ」彼は、辺境伯の長女である私、リアラにそうお願いしたあと、パーティー会場に戻るなり「僕、タントス・ミゲルはここにいる、リアラ・フセラブルとの婚約を破棄し、公爵令嬢であるビアンカ・エッジホールとの婚約を宣言する」と叫んだ。
婚約破棄した上に公爵令嬢と婚約?
憤慨した私が婚約破棄を受けて、新しい婚約者を探していると、婚約者を奪った公爵令嬢の元婚約者であるルーザー・クレミナルが私の元へ訪ねてくる。
アグリタ国の第5王子である彼は整った顔立ちだけれど、戦好きで女性嫌い、直属の傭兵部隊を持ち、冷酷な人間だと貴族の中では有名な人物。そんな彼が私との婚約を持ちかけてくる。話してみると、そう悪い人でもなさそうだし、白い結婚を前提に婚約する事にしたのだけど、違うところから待ったがかかり…。
※暴力表現が多いです。喧嘩が強い令嬢です。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。
格闘シーンがお好きでない方、浮気男に過剰に反応される方は読む事をお控え下さい。感想をいただけるのは大変嬉しいのですが、感想欄での感情的な批判、暴言などはご遠慮願います。
幼馴染みに婚約者を奪われ、妹や両親は私の財産を奪うつもりのようです。皆さん、報いを受ける覚悟をしておいてくださいね?
水上
恋愛
「僕は幼馴染みのベラと結婚して、幸せになるつもりだ」
結婚して幸せになる……、結構なことである。
祝福の言葉をかける場面なのだろうけれど、そんなことは不可能だった。
なぜなら、彼は幼馴染み以外の人物と婚約していて、その婚約者というのが、この私だからである。
伯爵令嬢である私、キャサリン・クローフォドは、婚約者であるジャック・ブリガムの言葉を、受け入れられなかった。
しかし、彼は勝手に話を進め、私は婚約破棄を言い渡された。
幼馴染みに婚約者を奪われ、私はショックを受けた。
そして、私の悲劇はそれだけではなかった。
なんと、私の妹であるジーナと両親が、私の財産を奪おうと動き始めたのである。
私の周りには、身勝手な人物が多すぎる。
しかし、私にも一人だけ味方がいた。
彼は、不適な笑みを浮かべる。
私から何もかも奪うなんて、あなたたちは少々やり過ぎました。
私は、やられたままで終わるつもりはないので、皆さん、報いを受ける覚悟をしておいてくださいね?
半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!
八代奏多
恋愛
侯爵令嬢のレティシアは恵まれていなかった。
両親には忌み子と言われ冷遇され、婚約者は浮気相手に夢中。
そしてトドメに、夢の中で「半月後に死ぬ」と余命宣告に等しい天啓を受けてしまう。
そんな状況でも、せめて最後くらいは幸せでいようと、レティシアは努力を辞めなかった。
すると不思議なことに、状況も運命も変わっていく。
そしてある時、冷徹と有名だけど優しい王子様に甘い言葉を囁かれるようになっていた。
それを知った両親が慌てて今までの扱いを謝るも、レティシアは許す気がなくて……。
恵まれない令嬢が運命を変え、幸せになるお話。
※「小説家になろう」「カクヨム」でも公開しております。
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
【完結】婚約破棄された公爵令嬢、やることもないので趣味に没頭した結果
バレシエ
恋愛
サンカレア公爵令嬢オリビア・サンカレアは、恋愛小説が好きなごく普通の公爵令嬢である。
そんな彼女は学院の卒業パーティーを友人のリリアナと楽しんでいた。
そこに遅れて登場したのが彼女の婚約者で、王国の第一王子レオンハルト・フォン・グランベルである。
彼のそばにはあろうことか、婚約者のオリビアを差し置いて、王子とイチャイチャする少女がいるではないか!
「今日こそはガツンといってやりますわ!」と、心強いお供を引き連れ王子を詰めるオリビア。
やりこまれてしまいそうになりながらも、優秀な援護射撃を受け、王子をたしなめることに成功したかと思ったのもつかの間、王子は起死回生の一手を打つ!
「オリビア、お前との婚約は今日限りだ! 今、この時をもって婚約を破棄させてもらう!」
「なぁッ!! なんですってぇー!!!」
あまりの出来事に昏倒するオリビア!
この事件は王国に大きな波紋を起こすことになるが、徐々に日常が回復するにつれて、オリビアは手持ち無沙汰を感じるようになる。
学園も卒業し、王妃教育も無くなってしまって、やることがなくなってしまったのだ。
そこで唯一の趣味である恋愛小説を読んで時間を潰そうとするが、なにか物足りない。
そして、ふと思いついてしまうのである。
「そうだ! わたくしも小説を書いてみようかしら!」
ここに謎の恋愛小説家オリビア~ンが爆誕した。
彼女の作品は王国全土で人気を博し、次第にオリビアを捨てた王子たちを苦しめていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる