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アレ、これ、それ、どれ?
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とりあえず、お兄様を筆頭に皆様がデルモンド様をどうにかしたいと考えていることは理解しました。
それで、具体的にはどうなさるおつもりなのかしら?
お兄様に促すと、その詳細を語って下さいました。
「まず、パーティー前にミリムはアレの前に姿を見せてくれ。絶対にアレのことだから口説いてくる。上手く逃げろよ。そしてパーティーで僕とラナリス殿下がみんなの挨拶を受ける。殿下をミリムだと思い込んでいるアレは、絶対に言いがかりをつけてくる。不貞をしていたとか、そのあたりだろうな。もちろん、不貞などではないし、そもそも婚約は撤回されているからアレに文句を言われる筋合いはない。アレが騒ぎ始めたらミリムたちの登場だ。自分のことは棚に上げて、ミリムに求婚するはずだ。もしかしたらもっと酷いかもしれない。これだけは予想がつかないからな、ユリウス頼んだぞ?そうしたら、ミリムが本当は元婚約者だったことや諸々を明かす。デルモンド侯爵もその場で廃籍を告げると言っていたからな。この日に全て片付けられるだろう」
なんだか面倒ですわね。
何故、私がわざわざあの方に姿を見せなくてはならないのでしょう。
そもそも、ラナリス様を振るような方ですのに、私を口説くわけがないではありませんか。
「・・・それ、ミリムの良いところでもあるけど、悪いところでもあるわよね」
「ラナリス様、それとはどれのことですか?」
「ラナリス殿下、私はこれがお姉様の良いところだと思いますわ。百鬼夜行のような貴族世界で、お姉様の純粋さは美徳ですわ」
「ま、それもそうね。アレとの婚約がなくなって本当に良かったわ」
お兄様がデルモンド様のことをアレとおっしゃるから、ラナリス様までが。
アレだのそれだの、指示代名詞ばかりで会話が成り立つのですから、困ったものですわ。
「そこまでなさらなくても、普通に廃籍だけでよろしいのでは?」
「いや、自分の愚かさを自覚させないと、アレのことだからミリムを探して辺境伯領までくるかもしれないぞ?それに、ラナリス殿下をミリムと思い込んだまま、まとわりつかれても困る。ジャグリング嬢のパーティーに出ていた者は理解しているが、そうでない人間は誤解するかもしれないからな」
辺境伯領は遠いですから大丈夫だとは思いますが、探して来られたりするのは迷惑ですわ。
それにあのパーティーは、ほとんどが高位貴族でしたから、事情を知らない方も多いでしょう。
妙な噂になっても困りますね。
それで、具体的にはどうなさるおつもりなのかしら?
お兄様に促すと、その詳細を語って下さいました。
「まず、パーティー前にミリムはアレの前に姿を見せてくれ。絶対にアレのことだから口説いてくる。上手く逃げろよ。そしてパーティーで僕とラナリス殿下がみんなの挨拶を受ける。殿下をミリムだと思い込んでいるアレは、絶対に言いがかりをつけてくる。不貞をしていたとか、そのあたりだろうな。もちろん、不貞などではないし、そもそも婚約は撤回されているからアレに文句を言われる筋合いはない。アレが騒ぎ始めたらミリムたちの登場だ。自分のことは棚に上げて、ミリムに求婚するはずだ。もしかしたらもっと酷いかもしれない。これだけは予想がつかないからな、ユリウス頼んだぞ?そうしたら、ミリムが本当は元婚約者だったことや諸々を明かす。デルモンド侯爵もその場で廃籍を告げると言っていたからな。この日に全て片付けられるだろう」
なんだか面倒ですわね。
何故、私がわざわざあの方に姿を見せなくてはならないのでしょう。
そもそも、ラナリス様を振るような方ですのに、私を口説くわけがないではありませんか。
「・・・それ、ミリムの良いところでもあるけど、悪いところでもあるわよね」
「ラナリス様、それとはどれのことですか?」
「ラナリス殿下、私はこれがお姉様の良いところだと思いますわ。百鬼夜行のような貴族世界で、お姉様の純粋さは美徳ですわ」
「ま、それもそうね。アレとの婚約がなくなって本当に良かったわ」
お兄様がデルモンド様のことをアレとおっしゃるから、ラナリス様までが。
アレだのそれだの、指示代名詞ばかりで会話が成り立つのですから、困ったものですわ。
「そこまでなさらなくても、普通に廃籍だけでよろしいのでは?」
「いや、自分の愚かさを自覚させないと、アレのことだからミリムを探して辺境伯領までくるかもしれないぞ?それに、ラナリス殿下をミリムと思い込んだまま、まとわりつかれても困る。ジャグリング嬢のパーティーに出ていた者は理解しているが、そうでない人間は誤解するかもしれないからな」
辺境伯領は遠いですから大丈夫だとは思いますが、探して来られたりするのは迷惑ですわ。
それにあのパーティーは、ほとんどが高位貴族でしたから、事情を知らない方も多いでしょう。
妙な噂になっても困りますね。
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