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この方が私の旦那様

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 ユリウス様のエスコートで、街を廻ります。

 もちろんエスコートといっても社交場ではありませんから、その、手を繋いで・・・です。

 幼い子供みたいだと言いましたら、ユリウス様は笑っておられました。

 私にも分かっております。
平民の方は、お付き合いされている方と手を繋ぐのだそうですわ。

 私は子爵家の娘ですから、領地で領民の方にそう教わりました。

 その、恋人繋ぎというのを自分がしていると思うと、ちょっと、その、恥ずかしくてドキドキしてしまい、つまりは照れ隠しですわ。

 ユリウス様はとても領民の方に慕われているようで、進むたびに声をかけられるので、皆さまに見られているのが恥ずかしいのです。

 隣にいる私にも、皆さまお優しく声をかけてくださいます。

「ユリウス様は、とても慕われていらっしゃいますのね」

「ははっ。そう言うミリム嬢・・・ミリムも領地でとても人気だとヒルトが言っていたぞ」

「お兄様が?人気だなんて、皆様良くしてくださるだけですわ」

 それに私がアデライン子爵家を継ぐと思っていましたから、領地を見て回るのは当たり前ですし。

 毎回毎回、必ずお兄様が付いて来てましたけど。

「・・・ヒルトの言った通りだな」

「お兄様の?お兄様が何とおっしゃいましたの?」

 お兄様ってば、私の悪口をユリウス様にお伝えしたのではないでしょうね?

 そんなことをなさってたら、今度ラナラス様に言いつけ・・・やめておきましょう。

 お兄様はとても、その、性格がですから、そんなことをすれば倍返しに合いますわ。

「ミリムは自分の魅力に全く気付いてないから、周囲が警戒しておくように、とな。確かにしっかり掴まえておかないといけないな」

「魅りょ・・・は?もう!お兄様ってば。何をおっしゃっているのかしら。ユリウス様も本気になさらないで下さい」

 何の嫌がらせかしら。

 私は先日、元婚約者様から婚約破棄を宣言されるような女ですのに。

 まぁ、言われたのは王国の花であるラナラス王女殿下ですけど。

 あの方、絶対顔を見ずに、髪色とかだけで判断しましたわよね。

 というか、公にほとんど出ていらっしゃらないとはいえ、侯爵家のご子息が王女殿下の顔を知らないとか、あり得るのかしら?

「ああ、まぁ、そういう対応だろうな」

「え?何かおっしゃいまして?」

「いや、ほらそこの店なら綺麗な布地や糸を扱っている」

 ユリウス様が示されたお店は、大きくはありませんが、とても歴史を感じさせるお店でした。

「入ろうか」

「はい!」

 護衛の方は、邪魔にならないようにお店の外で待たれるようです。

 ユリウス様と手を繋いだまま、お店の扉を開きました。
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