拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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結婚式を早めるそうです

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「え?あの、今、何て?」

 いえ。聞こえていないわけではないのです。
 ですが、思わず聞き返してしまいました。

 辺境伯様は、怒りもせずに穏やかに繰り返して下さいました。

「申し訳ないが、結婚式の日取りを早めたい。ドレスをオーダーメイドにしたかったのだが、そうなると半年以上はかかる。ドレスは別に作るので、式の際のドレスは既製品で許してもらえないだろうか」

「あ、あの、どうしてそんなに結婚式を早めたいのですが?」

「・・・先ほど客が来ていたのだが、その客というのが、伯爵家のご令嬢で・・・」

 あら?伯爵家の?
でも家令のデビットは「招かれざるお客様」と言ってなかったかしら。

「彼女だけではないのだが・・・自分こそが辺境伯夫人に相応しいと言って、何を言っても聞かないご令嬢がいるのだ。とにかく、どうお断りしても屋敷に突撃してくる。家の方に抗議しても、娘の恋心を受け入れてやって欲しいと言い出す始末だ。屋敷に訪れるだけで処罰をするわけにはいかない。それで王家に相談して、彼女たちに内密に婚約者をすぐに決めることにしたのだ。ところが、婚約者候補のご令嬢がうちに来ているという噂が広がっているらしくて」

 辺境伯様は、とても素敵な殿方ですもの。おモテになるのは当然ですわね。

 でも伯爵家なら、我が家より爵位も高いですし、私より釣り合いが取れるのではないでしょうか。

 王家に相談したということは、もしかしてお兄様が私を無理矢理に推薦したとか?

 お兄様に言われて、辺境伯様はお断りになれなかったのでは?

「それで、もし君に危害を加えられでもしたら困るから、すぐにでも結婚した方が安全だと判断した」

 確かに我が国では、婚姻すると正当な理由なく離縁は認めてもらえません。

 ですから婚姻さえしてしまえば、彼女たちも諦めるしかないと思いますが。

 辺境伯様はそれでいいのでしょうか?

「必ず君を守るつもりだが、もし仕事で家を離れている時にやって来られたらと思うと。婚約者の時点では、君は子爵令嬢でしかない。伯爵家のご令嬢に強くは言えないだろう。だが、婚姻さえ済ませれば辺境伯夫人となるから、身分も上になる」

「それで、婚姻を早めるのですね」

「ああ。大切な日のドレスがオーダーメイドでないのは申し訳ないが」

 オーダーメイドとなると、どれだけ急いでも半年はかかります。

 一生に一度のことなので、オーダーメイドにこだわる方も多いのですが。

「私は別に気にしません。お母様に相談してみますわ」

 既製品だと、おざなりに扱われていると馬鹿にする方もいそうですもの。
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