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お客様が来たみたいです

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「疲れただろう?ゆっくり休んでくれ」

 辺境伯様のお屋敷に到着すると、玄関で多くの使用人の方々と、辺境伯様が出迎えてくれました。

 そして、夕食までゆっくり過ごすようにと部屋に案内されます。

 私のお部屋は、二階の日当たりの良い南向きのお部屋で、白を基調として家具や壁紙、カーテンなどが揃えられていました。

「綺麗なお部屋」

「ミリム様のお好みが分かりませんでしたので、ひと通り揃えましたが、お好みのデザインや色がありましたら、おっしゃってください。準備いたします」

「いいえ。とても明るくて綺麗ですから、必要ありません」

「こちらのお部屋がクローゼットになっております。婚礼衣装を作るために王都からデザイナーを呼びますので、普段着用のドレスもその際にご注文なさってください」

 私が持ち込んだドレスが、広いクローゼットに収められています。

 確かに雪が積もるなら、王都よりは寒いだろうし冬用のドレスは必要かもだけど、別に王都から呼ばなくても。

 もちろん、辺境伯様に恥をかかげるような真似は出来ませんから、社交に出る時は新たなドレスが必要ですけど・・・

 確か辺境伯様、あまり社交には出られてなかったような。

 それはそうよね。
国防の要の辺境伯様が、馬で五日もかかる王都に向かうなんて余程の時くらいですよね。

 なら、多分私も社交に出ることはないんじゃないかしら?

 まぁ、ドレスの件はあとでメリアと相談しましょう。

「こちらはお風呂ね。あちらの扉は?」

「そちらは、辺境伯様ご夫婦の主寝室となります。奥様と旦那様、それぞれの部屋と扉で繋がっております」

「そ、そう・・・」

 そ、そうよね。
結婚したらその、そういうことをして後継を産むのが私の役目だもの。

「あら?誰かお客様?」

 他のお部屋も案内してもらっていた私は、玄関の辺りの騒がしさにその足を止めました。

 私を案内していた家令は、その足を止め階下に視線を向けると、にっこりと微笑みます。

「招かれざる客のようです。旦那様のお手を煩わせるわけにはまいりませんから、少し私は失礼いたします。メリア、あとは任せましたよ」

「かしこまりました。ではミリム様。図書室へご案内いたします」

「・・・あ、はい」

 なんだか、私には会わせたくないお客様のようです。

 え?気にしたりしませんわ。

 実家のアデライン子爵家でも、ありましたもの。

 一度、お兄様関連のお客様に遭遇したことがありまして、なんだか聞くに耐えない言葉をたくさん承りましたの。

 それ以来、家族も使用人もそういうお客様と私を会わせないように徹底するようになりました。

 どうやら、私がショックを受けたと思われたみたいです。

 単にびっくりしただけなんですけどね。

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