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ヒロイン?いえ!もしかして百合なの?

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「あら?殿下、ごきげんよう。私、エリザベート様と二人でお茶がいただきたいのですけど」

 あの入学式以来、毎日のようにクリス様が私のそばにいる。

 あれ?
私懐かれてる?

 懐かれてるというか、もしかして百合?って感じに周囲を威嚇するんだけど。

「あ、いや、クリス・・・嬢。ちょっと話が・・・」

「帰ってからでは駄目ですの?」

「帰るとその・・・母上がいるから、あの・・・」

「ハァ。仕方ありませんわね。エリザベート様、待っていて下さいね?すぐ戻りますから」

 アーロン殿下はタジタジになりながらも、クリス様を少し離れた席に誘っている。

 うーん。
これってアーロン殿下はクリス様のことを好きとか・・・には見えないわね。

 どう見ても怯えてるというか、クリス様の方が立場が上に見えるもの。

 正妃様の妹様が嫁がれた国から来られたとはいえ、元側妃様の王妃様とは仲がよろしくないのかしら。

 ちなみにイザベリーナは、所在なさげに私の席の側に立って、アーロン殿下たちの方を見ている。

 まぁ、気になるわよね。
クリス様って本当にお綺麗だし。

 パーツひとつひとつが整っているのよね。

 女性にしては少し背が高いけど、スラッとしてるし、なんだか宝塚の男役みたい。

「イザベリーナ。ここに座ったら?」

「・・・はい」

「クリス様はアーロン殿下のご親戚なのよ。正妃様の妹様が嫁がれた国の公爵令嬢だとか。お話ではものすごく遠縁というか、もう親戚じゃないんじゃないと思ったけど、お二人を見てると姉弟って雰囲気なのよね」

「でも、クリス様はとてもお綺麗だから・・・」

 まぁ確かにそれは認めるわ。
女として負けてるって思うもの。

 でも人間、見た目だけじゃないのよ、意外と。

 美女と野獣や、その逆バージョンだって普通にある。

 それにアーロン殿下の場合は・・・

「殿下は可愛らしいタイプが好みでしょう?それに、好みじゃなくてもイザベリーナが良いんだと思うわよ」

 アーロン殿下は、自分を頼ってくれて甘えてくれるタイプが好きだと思うのよね。
 だからどう見ても、クリス様は対象外だと思う。

 遠目に見ても、クリス様に言い負かされている様子のアーロン殿下を見ていると、不意にクリス様と視点が合った。

「ッ!」

「お姉様?お顔が少し赤いわ。どうなさったの?」

「な、なんでもないわ。イザベリーナ、ケーキでも食べましょうか?」

 慌てて視線を逸らしたけど、顔が火照ってしまったみたいで、イザベリーナに指摘されてしまった。

 だって、あんまりにも愛おしげに見るんだもの。

 私は百合じゃないわよ!
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