悪役令嬢と転生ヒロイン

みおな

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通常運転

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 入学式は何事もなく終わった。
やっぱり、クラス分けを早めに見に来て正解だったと思う。

 式での席順は自由だったから、ヴァイオレット様と並んで前の方に座った。

 入学式が始まる間際に、入り口の方がざわざわとしていた。

 振り返ったヴァイオレット様の眉が顰められたのを見て、攻略対象たちが来たのだと理解する。

「ヴァイオレット様?」

「・・・いえ、何でもありませんわ」

 多分、王族として式のギリギリに来るなんて、と思っているんだろうな。

 実際、小説とかでそう言ってたし。
式の後にヒロインと共にいる攻略対象たちの元に向かい、そう言うのよね。

 式自体は、何事もなく普通に終わった。
この後は、教室に向かい教科書などを受け取ってから帰宅することになる。

 ヴァイオレット様とは、無事?に同じSクラスになれていた。

 ルリア、グッジョブ!
ちなみに入学試験一位は、ルカだった。

 ルカはヴァイオレット様の侍従ではあるけど、魔力持ちだ。

 学園は魔力持ちなら平民でも通うことが義務で、逆に言えば魔力持ちでなければ通うことが出来ない。

 身分制度は適用されないから、例え王族でも使用人を連れてくることができない。

 成績三位のヴァイオレット様と同じクラスになるため頑張ったとルカは言ったけど、魔力量は多いのよね。だって魔王になるし。

 ちなみに私は次席だった。
ルリア、優秀?私、これからめっちゃ頑張んなきゃダメなやつでは?

 ミラも九位と、なかなかの健闘だった。

 教室の席順は、成績順。
一位から六位までが一列で、それが五列で三十人がSクラス。

 つまりはルカの後ろが私。ヴァイオレット様の隣がミラとなる。

 一年毎に試験が行われ、成績不振の生徒は、クラス落ちする。

 机の上に置かれた教科書。
自分のものは自分で持つことになっているけど、入学式だけは荷物が多いから特例で、貴族の多くは校舎の外で使用人が待っている。

 ちなみにヴァイオレット様の教科書はルカが、私の教科書はミラが、馬車へと運ぶ。

「ミラ、自分で持っていけるわ」

「駄目です。旦那様に私が叱られます。ルリア様はヴァイオレット様とお話されていてください」

 何度も運ばすのが申し訳なくてそう言ったけど、ピシャリと言い切られてしまった。

 うん。私至上主義のミラだからね。
これが通常運転だよね。

 ちなみにヴァイオレット様がルカに運ばせようかと言ってくれたんだけど、それもミラがしっかりと断っていた。

「ルリア様の教科書は、誰にも運ばせません」とか、何とか言ってた気がするけど。

 うん。狂信者、本日も絶好調だわ。

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