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ゲームの舞台の学園へ

許せませんわ

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「男爵令嬢が、アリス様やダートン公爵子息様を呼び捨てにするなんて!」

 リーシャ様の言葉に教室内がざわざわとします。
 当然です。この学園は貴族社会の縮小図。学園内は平等という学園もあるみたいですが、ここは違います。

 本人はゲーム知識があるみたいですから、つい登場人物を呼び捨てにしたんでしょうけど、自分の立場をよく考えた方がよろしいのでは?

 ヒロインなら許されることもあるでしょうけど。

 リリア・クライブ様は、小動物のようにプルプルと震えながら、いえとてもわざとらしいですけど、上目遣いでセシル様を見つめます。

「セシル様も言ってください。この人たち、ひどいですよね。私のことをいじめるんです」

「ひどいのは君の頭の中だろう」

 あら?ハロルドが冷たい目でクライブ様を見ています。
 隣のレイモンド王子も、自分の婚約者であるリーシャ様をひどいと言われ、睨んでいますわ。

 確かセシル様は、レイモンド王子とハロルドを攻略しないと攻略できないのでは?
 このヒロインもどきさん、本当にゲーム知識を持っているのかしら?

 チラリとプリシア様に視線を向けると、プリシア様もクライブ様を睨んでいます。
 まあ!プリシア様、可愛らしいお顔が台無しですわ。

「ハロルド様、どうしてそんな酷いこと言うんですか?レイモンド様も何か言ってください!」

「僕は君に名前を呼ぶ許可を出した覚えはないが?君は王族である僕を馬鹿にしているの?」

「僕も君なんかに名前を呼ばれたくないな。目障りだからどっかへ行ってくれないか」

「ひ、ひどいです!あ!その人たちが私の悪口を吹き込んだんですね?信じないでください!!」

 どうやって、今会ったばかりのあなたの悪口を吹き込めるというのですか?
 大体、悪口以前に、クライブ様の貴族としての行いに問題があります。

 しかし、らちがあきませんね。
先生、早くおいでにならないでしょうか。

 ガタリと音を立てて、セシル様が椅子から立ち上がりました。
 クライブ様のお顔が嬉しそうにほころびます。

「セシルっ!やっぱりセシルはわかってくれたのね?」

「誰のことを・・・」

「私の婚約者を呼び捨てにするなんて、クライブ様はどういうおつもりですか?」

 怒りのまま、クライブ様を睨みつけたセシル様の言葉に被せるように、私は立ち上がりました。

 私を悪く言うのは、まぁ、見過ごしましょう。リーシャ様も負けていないようですから、それもよしとしましょう。
 ですが、大切なセシル様のことを呼び捨てにするなんて許せません。



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