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第2章

婚約者変更?《サイード視点》

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 国王陛下である父上に呼び出され、告げられた内容に、僕は思わず聞き返した。

「婚約・・・解消?」

「そうだ。ヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢との婚約は解消される。ここにサインしなさい」

 第1王子であるサイラス兄上から、書類とペンが差し出された。

 そこに書かれていたのは、婚約が解消されること。そしてヴァレリア公爵、ヴィヴィのサインがあった。

「どう・・・して」

「どうしてだと?お前は自分のしてきたことを我々が知らないとでも思っているのか?」

 僕がしてきたこと?
僕は、婚約者であるヴィヴィを蔑ろにして、キャンディに入れ込んでいた。

 そして、キャンディをいじめていたと勝手に周囲を責め、側近候補を失った。

 ああ、そうか。
今度は婚約者を失うのか。
 そして、キャンディも僕から離れていく。僕には何も残らないんだな。

 そんなことを考えながら、兄上から受け取った書類にサインをした。

 何だかもう、何もかもがどうでもいい気がした。
 僕は、もう王家にもいらない存在になったのだろう。イザヴェリ公爵家の後ろ楯もなくなった愚か者。

 僕たちには、10歳も年の離れた弟がいる。まだ幼い弟をサイラス兄上のサポートに付けるわけにはいかなくて、僕がスペアとして王家に残ることになっていたが、ヴィヴィとの婚約が解消された今、僕の価値は弟サイオン以下になった。

 今まで、王家でぬくぬくと育っていた僕は、ここから追い出されて生きていけるのだろうか。

 僕は何も考えず、ただキャンディのことを好きだとだけ思っていたけど、学園を卒業したあとは?
 公務以外に何も知らない僕が、キャンディと一緒になったとして、どうやって暮らしていく?

 そうだ。僕は何も考えていなかった。
僕とヴィヴィの婚約は、父上がヴァレリア公爵家に申し入れた婚約だ。

 それはヴィヴィが優秀で、王子妃に相応しいからだ。
 そして、王家に嫁げるのは侯爵家以上の令嬢だけだ。キャンディでは、王子妃にはなれない。

 僕はそんなことも考えもせずに、ヴィヴィを蔑ろにしていたのか。
 そして、とうとうヴィヴィから捨てられたのだな。

 僕の、そんな様子を見ていたサイラス兄上は、大きくため息を吐いた。

「全く、お前はどうしてそう危機感がないんだ?今さら、ヴィヴィ嬢の存在の大切さや、自分の立場がわかってどうする?ずっと王族という中でしか過ごしていない僕やお前が、平民として生きていけるわけがないだろう?」

「・・・はい」

 兄上のおっしゃる通りだ。
愛する人と暮らせるなら、どんなことだって出来ると言いたい。
 でも、そんなのは、幻想だ。

「しょうがないヤツだな。次の婚約者は大切にしろよ」

「はい・・・・・・え?」

 今、なんて?







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