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あれ?何か違わない?
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エミリオ王太子殿下ルートでは、リリーは図書室に閉じ込められる。
実際に、リリーは図書室で勉強を頑張っていたし、それをエミリオ殿下はちょっと熱い視線で見つめていた、と思う。
リリーに嫉妬して何かしそうなご令嬢、クモリス公爵令嬢は存在する。
まぁ、直接は関わってこないだろうけど、公爵令嬢の取巻きはいるから、その人たちが接触してくるだろう。
だけど、リリーがなくしたと思う宝物ってなんだろう?
乙女ゲームの場合は選択肢が三つあって、ひとつは殿下から貰った花を押し花にした栞。
あとは、母親から贈られた髪飾りと、父親から贈られた本。
つまりはこの場合の選択肢は栞なんだけど・・・
リリーってエミリオ殿下から花貰ったっけ?
ケーキは貰ったというか、奢ってもらった。
でも、花・・・
まぁ、乙女ゲームと同じになるわけじゃないから、違う物という可能性もあるとして、え?なんか貰ってた?
そのことにずっと気を取られていた私は、曲がり角でとある会話を耳にした。
「ハルト様とこの子を上手く、備品室に閉じ込めてね」
「成功したら、約束通りに彼女を好きにしせて下さいよ」
「もちろんよ。ずっと気に食わなかったのよ、あの姉妹」
クモリス公爵令嬢と、その取り巻きの伯爵令嬢。
そして、見覚えがある男子生徒。
入学して少したった頃、リリーに告白してきた人がいた。
もちろんリリーは丁寧にお断りしてたけど、確かあの人だったと思う。
え?何?どういうこと?
ハルト様を備品室に閉じ込める?
あの伯爵令嬢と一緒に?
何もなくても、ご令嬢と二人きりでいたとなったら、よくない噂が立つ。
婚約の妨げにもなるから、ハルト様としてはあのご令嬢を婚約者にしなければならない可能性が高い。
もちろん、王弟殿下の息子であるハルト様は、そういうハニートラップはとても警戒しているはずだ。
だから、彼女たちが言う事態にはならないはず・・・だけど。
それでも、最推しがハニートラップにかかるのではと不安になって、私は彼女たちのあとをつけた。
あとで考えると、閉じ込められた後に速攻で備品室の鍵を持ってきて、私が開ければ良かったのだ。
そうすれば、噂になることもない。
伯爵令嬢も、それからクモリス公爵令嬢も、ハニートラップをかけたなんて言えないから、私が救い出したとしても何も言えなかったはずだ。
そう、後で考えれば。
この時の私は、とにかくハルト様を救いたい、それだけしか考えていなかった。
そして、猪突猛進で備品室に向かった私は、あの男子生徒に伯爵令嬢と勘違いされ、ハルト様と二人備品室に閉じ込められたのだった。
実際に、リリーは図書室で勉強を頑張っていたし、それをエミリオ殿下はちょっと熱い視線で見つめていた、と思う。
リリーに嫉妬して何かしそうなご令嬢、クモリス公爵令嬢は存在する。
まぁ、直接は関わってこないだろうけど、公爵令嬢の取巻きはいるから、その人たちが接触してくるだろう。
だけど、リリーがなくしたと思う宝物ってなんだろう?
乙女ゲームの場合は選択肢が三つあって、ひとつは殿下から貰った花を押し花にした栞。
あとは、母親から贈られた髪飾りと、父親から贈られた本。
つまりはこの場合の選択肢は栞なんだけど・・・
リリーってエミリオ殿下から花貰ったっけ?
ケーキは貰ったというか、奢ってもらった。
でも、花・・・
まぁ、乙女ゲームと同じになるわけじゃないから、違う物という可能性もあるとして、え?なんか貰ってた?
そのことにずっと気を取られていた私は、曲がり角でとある会話を耳にした。
「ハルト様とこの子を上手く、備品室に閉じ込めてね」
「成功したら、約束通りに彼女を好きにしせて下さいよ」
「もちろんよ。ずっと気に食わなかったのよ、あの姉妹」
クモリス公爵令嬢と、その取り巻きの伯爵令嬢。
そして、見覚えがある男子生徒。
入学して少したった頃、リリーに告白してきた人がいた。
もちろんリリーは丁寧にお断りしてたけど、確かあの人だったと思う。
え?何?どういうこと?
ハルト様を備品室に閉じ込める?
あの伯爵令嬢と一緒に?
何もなくても、ご令嬢と二人きりでいたとなったら、よくない噂が立つ。
婚約の妨げにもなるから、ハルト様としてはあのご令嬢を婚約者にしなければならない可能性が高い。
もちろん、王弟殿下の息子であるハルト様は、そういうハニートラップはとても警戒しているはずだ。
だから、彼女たちが言う事態にはならないはず・・・だけど。
それでも、最推しがハニートラップにかかるのではと不安になって、私は彼女たちのあとをつけた。
あとで考えると、閉じ込められた後に速攻で備品室の鍵を持ってきて、私が開ければ良かったのだ。
そうすれば、噂になることもない。
伯爵令嬢も、それからクモリス公爵令嬢も、ハニートラップをかけたなんて言えないから、私が救い出したとしても何も言えなかったはずだ。
そう、後で考えれば。
この時の私は、とにかくハルト様を救いたい、それだけしか考えていなかった。
そして、猪突猛進で備品室に向かった私は、あの男子生徒に伯爵令嬢と勘違いされ、ハルト様と二人備品室に閉じ込められたのだった。
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