上 下
24 / 30

聖女を探しているそうです

しおりを挟む
「え?ネモフィラ王国がですか?」

 ヴィンセント様から、大切なお話があると言われました。

 お部屋には、ヴィンセント様とノワールさん、イブリンにアレッタもいます。

 そんな中でヴィンセント様が話してくださったのは、ネモフィラ王国が私・・・正確にいうと聖女を探しているということでした。

「私がご説明いたします。まずネモフィラ王国には、現在聖女は存在しません。当然ですね、ルディア様がメルキオール王国にいらっしゃるのですから。聖女がいないため、ネモフィラ王国は魔物を騎士が討伐しなければなりません。ですが、あの国は騎士の育成よりも聖女を探すという楽な道に逃げたのです」

 ネモフィラ王国に魔物が出ているということは気になります。

 王族や貴族、教会関係者のことはどうでもいいのですが、国民の皆さんのことは・・・

 いえ。全ての方ではないでしょうが、私が悪女として処刑される時、誰も悲しんでくれませんでしたね。

 そもそも、ネモフィラ王国にだけ聖女がいて、その聖女の力で守られているというのがおかしな話です。

 他の国は、騎士たちが魔物から民を守っているのですから。

 女神様が選んだ最初の聖女が、ネモフィラ王国の国民だったのでしょうが、それ以降も新たな聖女がネモフィラ王国の人間ばかりだったのは何故でしょうか。

「以前、ルディア様から聖女が亡くなると新たな聖女が生まれるとお聞きしました。それは複数の聖女が存在しないということ。それは事実で、過去にも聖女が複数存在したことはありません。そして、何故ネモフィラ王国にのみ聖女が存在したのかですが、どうやら初代の聖女の血筋をずっとネモフィラ王国以外には出していないことが分かりました」

 ああ。そういえば私も、王太子殿下の婚約者でしたね。

 ずっと王族との婚姻が義務付けられていて、女神様が最初に選ばれた聖女の資質を持った血が、王族関係者に引き継がれていたということですね。

 ただ、初めて今回は高位の貴族ではなく平民の私が聖女になってしまって・・・

 きっと、王太子殿下も周囲の皆さんも、不満だったのでしょうね。

 王族との婚姻で、ずっと高位貴族か王族に生まれていた聖女が、今回は平民だったことが。

「ルディア様の時が巻き戻ったことで、ネモフィラ王国には聖女がいなくなりました。過去にネモフィラ王国以外に聖女が存在したことがないので、ルディア様の存在は知られていませんが、回復薬のことが知られれば気付かれるかもしれません」

「ルディアにこのことを話したのは、警戒していて欲しいからだ。人間の国にも魔法を使える者たちはいる。ルディアを攫いにくるかもしれない。王宮の中とはいえ、絶対にひとりにならないで欲しい」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!

As-me.com
恋愛
 説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。  気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。  原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。  えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!  腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!  私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!  眼鏡は顔の一部です! ※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。 基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。 途中まで恋愛タグは迷子です。

西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~

雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。 元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。 ※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。

【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない

かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。 女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。 設定ゆるいです。 出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。 ちょいR18には※を付けます。 本番R18には☆つけます。 ※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。 苦手な方はお戻りください。 基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。

処理中です...