91 / 105
91.善行はしておくもの
しおりを挟む
私はクライゼン王国の王太子殿下、アンブレラ王国の第五王女殿下、そしてアンブレラ王国の国王陛下王妃殿下に謁見していた。
公爵家の娘として、マデリーン王国の王太子殿下の婚約者として、王族の方々とお会いする機会はそれなりにあったから、緊張はしないけど・・・
「この度はお時間を取っていただき、ありがとうございます」
「いや、こちらこそ我が娘エヴァリーナのために良縁を繋いでいただき礼をいう。ありがとう、フローレンス公爵令嬢」
「私の方も、弟のことで迷惑をかけたのに、このような才女を紹介していただき、礼の言いようがない。本当にありがとう」
アンブレラ王国国王陛下と、クライゼン王国王太子殿下から頭を下げられた。
偶然サウスフォード王国王太子殿下の浮気現場を目撃し、王太子付きの近衛からアンブレラ王国側からの婚約解消をお願いされ、解消ついでに婚約者を探しているクライゼン王国の王太子殿下を紹介した。
うん。別に頭を下げられるようなことはしていないわ。
たまたま偶然が重なっただけだもの。
それでも、あのままエヴァリーナ様がサウスフォードの王太子と結婚していたら、浮気者の夫に苦労しただろうし、もしかしたら国家同士の問題になったかもしれない。
クライゼンの王太子殿下とは歳の差があるけれど、王太子殿下は誠実な方だし、今見る限りとでもお似合いだと思う。
うん。大したことはしていないけど、いい仕事はしたわね!
「あの・・・クライゼン王国王太子殿下にお願いがございます」
「なんだろうか?私にできることなら何でも言ってもらいたい」
「フローレンス公爵家は、マデリーン王国から亡命いたしました。クライゼン王国で受け入れて下さいませんか?出来れば、男爵の爵位をいただければと・・・」
「え?亡命を?」
そうよね。驚くわよね。
公爵家が亡命なんて、普通はあり得ないもの。
「実は、王太子殿下が私との再婚約を言い出したようなのです。ですが、私はそれをお受けするつもりはありません。王命を使われる可能性があり、両親は望んだ使用人たちを連れて亡命したそうなのです。両親と私だけなら平民でもいいのですが、使用人たちもおりますので、可能なら下位の爵位をいただければ、と」
「す、すぐに父上たちに話そう。しかし、領民はどうされたのだ?」
「フローレンス公爵家の子供は私だけなので、私が王太子殿下の婚約者となった時から、領地の分配を始めていたそうです。領民も他の公爵家や侯爵家にお願いしてあるそうです」
「クライゼン王国が無理なら、うちで引き受けよう。無理そうなら言ってくれ」
アンブレラ王国の国王陛下の言葉に、私は深々と頭を下げた。
やっぱり善行はしておくものね。
公爵家の娘として、マデリーン王国の王太子殿下の婚約者として、王族の方々とお会いする機会はそれなりにあったから、緊張はしないけど・・・
「この度はお時間を取っていただき、ありがとうございます」
「いや、こちらこそ我が娘エヴァリーナのために良縁を繋いでいただき礼をいう。ありがとう、フローレンス公爵令嬢」
「私の方も、弟のことで迷惑をかけたのに、このような才女を紹介していただき、礼の言いようがない。本当にありがとう」
アンブレラ王国国王陛下と、クライゼン王国王太子殿下から頭を下げられた。
偶然サウスフォード王国王太子殿下の浮気現場を目撃し、王太子付きの近衛からアンブレラ王国側からの婚約解消をお願いされ、解消ついでに婚約者を探しているクライゼン王国の王太子殿下を紹介した。
うん。別に頭を下げられるようなことはしていないわ。
たまたま偶然が重なっただけだもの。
それでも、あのままエヴァリーナ様がサウスフォードの王太子と結婚していたら、浮気者の夫に苦労しただろうし、もしかしたら国家同士の問題になったかもしれない。
クライゼンの王太子殿下とは歳の差があるけれど、王太子殿下は誠実な方だし、今見る限りとでもお似合いだと思う。
うん。大したことはしていないけど、いい仕事はしたわね!
「あの・・・クライゼン王国王太子殿下にお願いがございます」
「なんだろうか?私にできることなら何でも言ってもらいたい」
「フローレンス公爵家は、マデリーン王国から亡命いたしました。クライゼン王国で受け入れて下さいませんか?出来れば、男爵の爵位をいただければと・・・」
「え?亡命を?」
そうよね。驚くわよね。
公爵家が亡命なんて、普通はあり得ないもの。
「実は、王太子殿下が私との再婚約を言い出したようなのです。ですが、私はそれをお受けするつもりはありません。王命を使われる可能性があり、両親は望んだ使用人たちを連れて亡命したそうなのです。両親と私だけなら平民でもいいのですが、使用人たちもおりますので、可能なら下位の爵位をいただければ、と」
「す、すぐに父上たちに話そう。しかし、領民はどうされたのだ?」
「フローレンス公爵家の子供は私だけなので、私が王太子殿下の婚約者となった時から、領地の分配を始めていたそうです。領民も他の公爵家や侯爵家にお願いしてあるそうです」
「クライゼン王国が無理なら、うちで引き受けよう。無理そうなら言ってくれ」
アンブレラ王国の国王陛下の言葉に、私は深々と頭を下げた。
やっぱり善行はしておくものね。
1,129
お気に入りに追加
2,583
あなたにおすすめの小説
婚約者が知らない女性とキスしてた~従順な婚約者はもう辞めます!~
ともどーも
恋愛
愛する人は、私ではない女性を抱きしめ、淫らな口づけをしていた……。
私はエスメローラ・マルマーダ(18)
マルマーダ伯爵家の娘だ。
オルトハット王国の貴族学院に通っている。
愛する婚約者・ブラント・エヴァンス公爵令息とは七歳の時に出会い、私は一目で恋に落ちた。
大好きだった……。
ブラントは成績優秀、文武両道、眉目秀麗とみんなの人気者で、たくさんの女の子と噂が絶えなかった。
『あなたを一番に愛しています』
その誓いを信じていたのに……。
もう……信じられない。
だから、もう辞めます!!
全34話です。
執筆は完了しているので、手直しが済み次第順次投稿していきます。
設定はゆるいです💦
楽しんで頂ければ幸いです!
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
【完結】私のことはお構いなく、姉とどうぞお幸せに
曽根原ツタ
恋愛
公爵令嬢ペリューシアは、初恋の相手セドリックとの結婚を控え、幸せの絶頂のはず……だった。
だが、結婚式で誓いの口づけをする寸前──姉と入れ替わってしまう。
入れ替わりに全く気づかず婿入りしたセドリックの隣で、姉は不敵に微笑む。
「この人の子どもを身篭ったの。だから祝ってくれるわよね。お姉様?」
ペリューシアが掴んだはずの幸せは、バラバラと音を立てて崩壊する。
妊娠を知ったペリューシアは絶望し、ふたりの幸せを邪魔しないよう家を出た。
すると、ひとりの青年だけが入れ替わりを見抜き……?
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
【完結】 いいえ、あなたを愛した私が悪いのです
冬馬亮
恋愛
それは親切な申し出のつもりだった。
あなたを本当に愛していたから。
叶わぬ恋を嘆くあなたたちを助けてあげられると、そう信じていたから。
でも、余計なことだったみたい。
だって、私は殺されてしまったのですもの。
分かってるわ、あなたを愛してしまった私が悪いの。
だから、二度目の人生では、私はあなたを愛したりはしない。
あなたはどうか、あの人と幸せになって ---
※ R-18 は保険です。
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる