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39.大丈夫、きっと大丈夫②

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「フランともずっと会っていないんだよな」

 会っていない・・・
そんなわけないわ。だって、セニングの街で微笑み合っていたじゃない。

 それとも、会ったと言ってはいけない何かがあるの?

 私はこれでも王太子殿下の婚約者だったし、公爵令嬢。
 王族には色々と政略的なことがあり、それをたとえ親しい間柄でも口にできないことがあることは理解している。

 それを表情に出して相手に悟られるなんていうのも論外だし、だからもしこれがなのなら、この嘘も仕方のないことだと思える。

 でも、もしそうじゃなかったら?

 アスラン様は確かに私の初恋の人で、ウィリアム殿下との婚約解消の時にすぐに婚約を申し込んでくれて、ずっと私を大切にしてくれて・・・

 うん。疑うのはちゃんと証拠を集めてからにしましょう。

 だってこれが何か理由があることなら、疑うことで私は大切な方を二人も失うことになるんだもの。

「それでフランチェスカ様とは、いつ会えるでしょうか?」

「兄上が明後日には戻るから、明後日には来るよ。でもアイシュが会いたいなら、連絡しようか?」

「いえ、今日は疲れているので休ませていただいて、明日・・・アスラン様と二人で過ごすことは可能ですか?」

「もちろん!でも、疲れてるって大丈夫か?医者を呼ぼうか?」

 うん。大丈夫。いつもの優しいアスラン様だわ。

 勝手に不安になったりするのはやめましょう。

 そもそもフランチェスカ様は、王太子殿下の婚約者。

 王太子殿下の弟であるアスラン様が、お兄様の婚約者と懇意になるとか有り得ないわ。

「では、私は今日は休ませていただきます。明日、楽しみにしていますね」

「ああ、ゆっくり休んで」

 私はアスラン様に礼を取ると、お借りしている部屋へと向かった。

 一ヶ月留守にしていたけど、お部屋は一ヶ月前のまま、掃除が行き届いていた。

 空気の入れ替えもされていて、部屋に花も飾られている。

「リュカ。荷解きはこちらでするから、護衛たちにも休んでもらって。リュカも交代して休んでね」

「はい、お嬢様」

 あの日、リュカもアスラン様とフランチェスカ様の後ろ姿を見ていたけど、何も言わない。

 きっとリュカも、何か理由があるのだと考えているのだわ。

 私は侍女の手を借りて着替えてから、それぞれ宛のお土産を振り分けていく。

 あ。そうだわ。
今日体を休めたら、侍女と護衛の一部はマデリーン王国に帰るから王宮の侍女をお借りしないと。

 アスラン様には明日お時間をいただくことになってるけど、明日伝えて明日からというのは困るわよね。

 後で、お願いしに行きましょう。

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