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プレゼント選び②

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「あ」

 目に留まったのは、蝶でした。

 金に縁取られたエメラルド色にオレンジの模様が入った蝶。

 銀に縁取られたアメジスト色に水色の模様が入った蝶。

 ブローチらしきそれに、わたくしは花に惹かれる蝶のように惹きつけられました。

「綺麗だね」

 隣で覗き込んだジークハルト様が、店員の方にショーケースから出してくれるよう話してくれます。

 わたくしが見たもの以外にも何色かあるらしく、目の前には色とりどりの蝶が群がりました。

「素敵・・・」

 ブローチだけでなく髪飾りもあり、他の選択肢がなくなってしまうくらい、わたくしの心を捉えて離してくれません。

「エメラルド色のお飾りやドレスに合うとしたら、どれになるだろうか?」

 わたくしがあまりにも目を逸らさないからか、ジークハルト様が店員の方に尋ねてくださいます。

 シャルロット様は、ブラシール様のお色のエメラルドを身につけることが多いですから、エメラルドメインでない方が良いですわよね。

ドレスと同じ色では、せっかくの蝶が目立ちませんもの。

「そうですね。それでしたら、こちらのレモンイエローにエメラルドの模様が入ったものなどはいかがでしょう」

「ライラックの髪色でしたら、どれが似合うかしら?」

「それでしたら、こちらのピンクに濃い紫の模様の蝶がおすすめです。エメラルドのドレスや他のお飾りとの調和を考えるなら、この真っ白な蝶に虹色の模様でしたらどのお色にも合うと思いますわ」

 金の縁に、光沢のある白の蝶は光の角度で模様が色んな色に見えます。

「コレ、いいんじゃないかな」

「ええ。これでしたら、ブラシール様の贈られた薔薇のお飾りの隣につけてもお洒落だと思います。こちらをブローチと髪飾り、両方いただけますか」

 他のお店も見るつもりでしたが、この蝶をあまりにも気に入ってしまいました。

「それでは準備させていただきますので、あちらでお座りになってお待ちください」

「ありがとうございます」

「あ、アリスティア嬢。ちょっと待ってて」

 ジークハルト様が、店員の方を追いかけて何か話されています。

 ああ。プレゼントだとお伝えしていなかったので、お伝えくださったのかしら。

「お待たせ。プレゼント用に包んでくれるように頼んだよ。良いものが見つかって良かったね」

「はい、ありがとうございます。早々に決まってしまいましたし、この後どうしましょうか」

 他に服飾店や、雑貨を置いているお店にも行く予定だったのですが。

「せっかくだし、全部見て回ろう。他にも気にいるものがあれば買えば良い。何も誕生日プレゼントはひとつと限ったわけじゃないんだから」

 ジークハルト様のお誘いに、わたくしは嬉しくてにっこりと微笑みました。

 パーティーにエスコートしてくださるジークハルト様にも、何かお贈りするものが見つかると良いですわ。
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