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お買い物、楽しいです

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「あら?アリスティアにはこの色も似合うんじゃないかしら?」

「こちらの、レースたっぷりのワンピースも似合うと思いますわ」

 お母様とキャスリーン様が次から次へと服を持って来て、わたくし着せ替え人間状態ですわ。

 お店の方も、お母様たちの指示で次々と服を持って来ては並べていくので、大変そうです。

 というか、そんなにたくさん並べられても選べませんわ。

「あの、そんなにたくさん並べられても、迷ってしまいますわ」

「あら。似合いそうなのは全部買うから良いのよ」

 お母様の言葉に目を丸くしてしまいます。
 全部、ですか?
確かにセオドア王国からは、ほとんどドレスは持ってきませんでしたけど。

 持ってきたのは、お父様とお母様、お兄様が買ってくださったドレスだけです。

 王家の方から準備されたドレスは置いてきました。

 エリック王太子殿下からだとは言われていましたけど、多分準備されたのは側近の方ではないでしょうか。

 お茶の席などで、良く褒めてくださっていましたもの。

「そのドレスも似合う」と。

 それって、ご自分で選ばれたわけではないから、ではないでしょうか。

 それとも、自分のセンスの良さを自画自賛されていたのかしら?

 どちらでもかまいませんわね。
わたくしはもう、エリック王太子殿下からドレスを贈られる立場ではありませんもの。

 全部は多過ぎるとお断りしようと思いましたが、高位貴族が買ったドレスは、使用しなくなれば下位の貴族に譲ったり、糸を解いて孤児院などに寄付されます。

 高位のものが買わなければ、経済も回りませんものね。

「次は、髪飾りと宝飾品ね!」

「アリスティア様はどんな色でも似合うから、選び甲斐がありますわね」

 お母様とキャスリーン様がとても楽しそうで、わたくしも楽しいですわ。

 わたくしの髪は、夢の中のエリック殿下曰く「幽霊のよう」に白いですから、確かに色を選びません。

 でも淡い色合いだと、ぼやけた感じになってしまうので、ドレスは比較的はっきりした色合いのものを選んできました。

 でも、本当は淡いものが好きなので、オーダーメイドの時はレースやフリル部分を濃い色にしておりましたの。

 お母様とキャスリーン様が選んで下さったのは、淡いピンクやパステルグリーン、空色などのドレスで、どれもドレス本体より濃いめの刺繍やレースがあしらわれていて、わたくしの好みにぴったりでした。

 ふふっ。
本当に楽しいですわ。

 セオドア王国では、こんなふうにお買い物をすることもありませんでした。

 婚約を解消できて、本当に良かったですわ。
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